ベンタンクールは、ボールを持ったときの素晴らしい瞬間と、パスやドリブルのずさんさが混在し、中盤トリオの中で最もパス成功率が低い選手だった。
一方のホイヴィアは終始好調だった。ケインのゴール前のビルドアップでは、巧みにボールをソンに戻し、試合中はピッチを縦横無尽に駆け回り、味方とのパス・トライアングルをうまくつなぎ、ヘディングで何度もインターセプトして、迷えるウイングバックや突進していくクリスティアン・ロメロのカバーリングを丁寧に行った。
ホイヴィアはピッチを縦横無尽に駆け回り、敵陣深くでブロックしたボールはもう少しで相手ゴールに吸い込まれるという場面もあったほどだ。
前半には、ブライトンのゴールキックの際にケインと話しをして本来のポジションに戻るのが遅れていたソンを、ためらうことなく怒鳴りつけていた。
レスター戦の後半に3-5-2が採用されたときと同様、ケインとの2トップでコンビを組んだソンは、より快適そうだった。アメックス・スタジアムでは、前半にアシストを決め、後半にはオフサイドの判定を受けながらもカーブをかけてシュートを放ってゴールネットを揺らすなど、常に危険な存在であった。
それでも、もししっかりと繋げていれば味方がゴールを決めてくれていたであろうシンプルなパスを奪われてしまう場面はいくつかあったが、彼の本来の自信が戻れば、こうした直感的なパスをミスすることは減るだろう。
3-5-2への変更はコンテにとって概ね成功であり、今後の試合に向けてオプションとなるだろうし、オリヴァー・スキップにもこのフォーメーションで何分かプレー時間を与えることになるだろう。
スパーズは今シーズン、開幕から9試合で20ポイントを獲得し、わずか1敗を喫しただけだ。プレミアリーグでこのスタートを上回ったのは、マウリシオ・ポチェッティーノ時代の2018/19シーズンの勝ち点21の1度だけだが、そのときは開幕9試合で7勝2敗だった。
感情が揺さぶられる状況の中、大声援をおくった敵地に乗り込んだスパーズ・ファンの前でコンテと選手たちは重要な勝利を掴んだ。トッテナム・ホットスパーは哀しみの1週間を過ごしたが、選手たちは自分たちに実現可能な唯一の方法で応えてくれた。
「選手たちには、『良い選手である前に、良い人間なんだ』と言っていたんだが、本当に誇りに思っている。このコンセプトは何度も繰り返した。このような状況の中で、彼らは本当に重要な存在であることを示したと思うよ。なぜなら、私は彼らにこの試合への出場を無理強いしないようにしていたからだ」
「過去には何度も、選手たちに無理にでもモチベーションを高めさせ、そういった状況を作り出してテンションを上げようとしてきた。。今日に向けては正直なところ、その点では何もしていないんだ。そして、彼らは本当に良い人間であり、一流の男たちであることを私に教えてくれた。『このチームの監督であることを誇りに思う』とさっき彼らに言ったよ」
