コンテ、ダニエル・レヴィ会長、ファビオ・パラティチ、そしてコーチング・スタッフたちは、日曜日の朝、ナポリのヴェスヴィオ山を臨む小さな教会、サンルイジ・ゴンザーガ教会での葬儀に出席するために飛び立つ。
一行は同日中にクラブに戻ることになっている。葬儀のために選手たちも帯同することが考えられたが、警備はもちろんのこと、移動のためのロジスティクスを考えると、すぐにそれは不可能になった。
選手たちはそれぞれの方法で敬意を表し、試合前も試合後も、その感情は明らかに彼らの感情が表れていた。トッテナム・サポーターがフィットネス・コーチの名前を歌い、イタリアの国旗を掲げ、ブライトン・ファンも敬意を表して拍手を送る中、キックオフ前の1分間の拍手では多くの人が涙をこらえ、約30年前からヴェントローネのことを知っているコンテは、涙をこらえきれなかった。
試合後、キャプテンのウーゴ・ロリスは、「Gian Piero」と背中に書かれたトッテナムのユニフォームに掲げながら、ブライトンに遠征をしているスパーズ・ファンが詰めかけたスタンドの前を歩いていた。サポーターはそれに応えて『There’s only one Gian Piero（ジャン・ピエロは唯一無二だ）』と歌い、感激したフランス人は胸のあたりを手で撫でてから、お返しの拍手を送った。
ヴェントローネは、選手にとってとても大切な存在だった。感情を抑えようとしたマット・ドハティは、試合後のインタビューで次のように語っている。
「ジャン・ピエロは、目が合うと彼はいつも選手の顔が笑顔になるように振る舞ってくれたんだ。どんな気分であろうと関係ないんだよ。もし機嫌が悪くても、ジャン・ピエロに会うと元気をもらえて、その後は笑顔でいられたんだ。この別れは、僕らに大きな喪失感を与えるだろうし、大変な1週間だったね」
「先日、アーセナル戦の前の水曜日だったと思うけど、子供たちが練習場まで迎えに来てくれて、後ろにジャン・ピエロがいたんだよ。子供たちが『パパ、あの人はお友達？』って聞いてきてね。普通なら『コーチの人だよ』と言うところだけど、僕は『うん、お友達だよ』と言ったんだ。彼は僕らにとってそういう存在だった。コーチ以上の存在だったんだ。僕が代表招集を受けて不在のときにもメールをくれたり、まさに友人だったんだ。それだけに僕らみんなにとってかなり厳しいものだったんだ」
