一流の指揮官は黄金の価値を持つもの。最新の次期監督候補にアンジ・ポステコグルーが浮上している。
Evening Standard/Dan Kilpatrick
日曜のプレミアリーグ最終節で今シーズンの幕が下りるとき、それはトッテナムにとって少なくとも8月中旬までは、フィールド上での苦境に終止符を打つ癒やしの雨のように感じられるだろう。
サポーターにとっては、スパーズのピッチの外でのドラマが収まる気配がなく、新たな監督探しが夏まで続きそうな気配が漂い、混沌が増す悪いニュースが続いている。
最も新しいところでは、有力候補と目されたアルネ・スロットがスパーズからの関心を受けるなかで、昨日、フェイエノールトに残留を表明したために、クラブは再び探しものを追い求め続けることになった。
フェイエノールトは、44歳のオランダ人とそのコーチング・スタッフ3人に対し、1,500万ポンド程度の補償を要求しており、この要求額にスパーズが二の足を踏んだと見られている。
スパーズは、エールディビジのクラブの要求に屈したとの見方を否定しているが、この憶測は、優秀なコーチにどれだけの価値があるのかという疑問を投げかけるものである。
スパーズのようなクラブは、選手には1,500万ポンドから2,000万ポンドを費やすのが普通だが、コーチには同様の金額を支払うことを躊躇することが多い。
監督を引き抜いた際に支払った補償金の世界記録は、バイエルン・ミュンヘンがユリアン・ナーゲルスマンをRBライプツィヒから引き抜くために支払った2,170万ポンドとされており、チェルシーがブライトンからグレアム・ポッターを獲得するために支払った2,150万ポンドがそれに次ぐ金額だとされている。
スロットの場合、エールディビジ以外での経験がない監督に1,500万ポンドというのはかなりの金額であり、現在のフェイエノールトとの契約には次の夏に600万ポンドのバイアウト条項が含まれていることもあって法外な要求とも言える。
しかし一方で、スパーズはシーズン半ばにペドロ・ポロというプレミアリーグ未経験の右ウイングバックに4,000万ポンドを費やし、加入当初は控えに回る可能性が高かったリシャルリソンには6,000万ポンドを投じた。そして、この夏には余剰戦力の一掃が見込まれており、高額の移籍金で補強したものの期待したほどの活躍ができなかった多くの選手たちに対し、冷酷な決断を強いられる可能性がある。
ピッチでの成功に加えて若手の育成にも長け、さらに不調だった選手を覚醒させることができればクラブにとって大きなリターンを得られるわけで、それを成し遂げられる適切な指揮官にはきっと金の価値がある。おそらく、将来的にはクラブの資産である選手たちを守るために、指導者に多額の補償金を支払うことが当たり前になるだろうが、今のところ、ほとんどのクラブは、そのようなことに踏み切ることを躊躇しているようだ。
