ボルソナーロ政権時代の終焉を控えるブラジル国民の「ヒーロー以上の存在」になったリシャルリソン

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Guardian/Tom Phillips

ワールドカップのセルビア戦でゴールを決めたリシャルリソンは、ブラジル国内で単なるスポーツのヒーロー以上の存在として讃えられている。

リシャルリソンの「バレエのように華麗なアクロバティックなゴール」は、ワールドカップの名ゴールのひとつと呼ばれている。しかし、セルビア戦で見せたスリリングな2ゴールの後、トッテナムのフォワードは単なるスポーツのヒーロー以上の存在として祝福されている。

ブラジルのファン、評論家、政治家たちからは、ボルソナーロ現大統領の極右政権が社会を分裂させ、環境を破壊し、コロナの流行への対応を誤って70万人近い国民が死亡した過酷な4年間を経て、リシャルリソンを人間の良識、同情、良心の鑑と賞賛する声が次々とあがっているほどだ。

スポーツ・ジャーナリストのTalyta Vespaは金曜日に、「リシャルリソンは、多くの苦しみを経験したブラジル人にふさわしいアイドルだ」と、この選手のフィールド外での取り組みやチャリティー活動に対する多くの賛辞のひとつを書き綴った。

小鳥のような動きを見せるゴール・セレブレーションから「鳩」との愛称で親しまれるリシャルリソンは、ブラジルのセレソンの中で最も進歩的な人間である。近年、母国ブラジルがボルソナーロの極右政権の支配下に置かれる中、リシャルリソンは人種差別、貧困、警察による暴力、LGBTQ+の権利問題、環境破壊といったテーマについて繰り返し発言している。

過去にブラジルの黄色いユニフォームがいかに同国の政治的紛争に巻き込まれているかに疑問を持っている。なお、今大会ではパンタナル湿地帯の問題の脅威を強調するためにセレソンのユニフォームのデザインにジャガーを採用している。

金曜日のブラジルの新聞一面

6月に英国人ジャーナリストのDom Phillipsとブラジル先住民専門家のBruno Pereiraがアマゾンで行方不明になったとき、リチャルリソンは彼らを見つけようとするキャンペーンを支持した最初の有名人の一人であった。ペレイラさんの妻であるBeatriz Matosさんは金曜日に「彼のすべての行動はもちろんのこと、とても繊細でブラジルへの献身性が素晴らしい」と同選手に向けてツイートしている.

ブラジルの壊滅的なコロナによる緊急事態をボルソナーロ大統領は「小さなインフルエンザ」と呼んでいたが、科学を否定する大統領が積極的に弱体化させていたワクチン接種活動をリシャルリソンは公に支持し続けた。

「彼はピッチの上だけでなく、ピッチの外でもスターなんだ」

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