この議論は、モウリーニョの手腕を問題視するファンと、彼が成功するための環境をクラブから与えられていなかったと感じるファンの間で意見を分断した。しかし、両陣営とも、コンテの9ヶ月の指揮を見れば、自分たちが正しかったと主張することができる。
一方、イタリア人は、スパーズでの仕事を受け入れるときに、チーム戦力のクオリティを低く評価し、昨シーズンにはチェルシーといったクラブとの戦力の差についてたびたび不満を述べていたことからも、かつてのモウリーニョの主張に同調していることが伺われる。
エリック・ダイアーやベン・デイヴィスはコンテのもとで生まれ変わったが、エンドンベレ、ジオバニ・ロチェルソ、ハリー・ウィンクス、そしてジョー・ロドンは、監督が変われば本来の能力を発揮してくれることが期待されたが、コンテのもとでも再起できず。しかし、1月の移籍マーケットで獲得したデヤン・クルゼフスキとロドリゴ・ベンタンクールがスパーズを大いに改善したのだ。
とはいえ、モウリーニョには決してできなかったこと、つまりチームを結束させ、チャンピオンズリーグに導くということを、コンテはやってのけたのである。そのため、モウリーニョの主張が正しかったことが証明されたとは言え、コンテは明らかにより優れた手腕を発揮しているのである。
モウリーニョが切望していたトップレベルのセンターバックだったが、コンテはクリスティアン・ロメロを手にしてスタートし、さらに移籍ビジネスのスピードと効率性においても要求の厳しいコンテのもとでファビオ・パラテイチが敏腕ぶりを見せつけている。
モウリーニョは対照的に、ダニエル ・ レヴィのもとで直接、移籍ビジネスを推し進め、さらにパンデミックに直面し、クラブ財政の将来性に不安が立ち込めていたときだった。
モウリーニョは2020年1月と夏の移籍マーケットである程度補強資金を与えられたが、彼のもとでの補強のほとんどは微力で、今日のクラブのチーム再建に費やせる資金力とは雲泥の差がある。もちろん、コンテがチャンピオンズリーグ出場権をもたらしたことも、それを後押ししているのだが。
この差を強調する比較として、両監督は最初の夏にハリー・ケインの控えストライカーとしてブラジル人フォワードを獲得した。モウリーニョはベンフィカからローン移籍でカルロス・ヴィニシウスを獲得し、結局、プレミアリーグでプレーできるようにはならなかったが、コンテは6000万ポンドで獲得したリシャルリソンで、すでにイングランドのフットボール界で実績のあるブラジル代表の背番号9であった。
