スパーズの補強の必要性を説きながら昨シーズンの大半を過ごしたコンテが、この夏に補強した戦力をあまり利用せず、常にスタイリッシュな試合内容ではないにしても、着実に勝利を重ねてきたように見えるのは、シーズン序盤の奇妙なストーリーであった。
今、徐々にではあるが、夏の補強の効果は現れている。ベン・デイヴィスの負傷に伴い、クレマン・ラングレがリーグ戦3試合連続で先発し、デヤン・クルゼフスキがハムストリングに問題を抱えていなかったとしても、リシャルリソンは間違いなくスタメンに名を連ねていただろう。イヴァン・ペリシッチは左サイドで縦横無尽に活躍し、だがそれがエメルソンの右サイドでの攻撃面での限界に光を当てることになったのだが、初日から違和感なくプレーしている。
他のポジションでは、コンテの古参への信頼が報われている。特に1月に契約したウルグアイ人は、強固なパフォーマンスでイブ・ビスマに付け入るすきを与えていない。
しかし、右ウイングバックは、問題を抱えたポジションであるにもかかわらず、クラブが1900万ポンドで新戦力を補強をしたにもかかわらず、コンテが問題視することがないまま、話題にしてはいけないことになっている。
ジェド・スペンスはこれまでに1度の89分の交代出場しかしておらず、これからエメルソンは3試合の出場停止に直面したが、代わりにマット・ドハティが入る可能性が高いようだ。
昨シーズン、ドハティが輝きを放ったことからも、状況がどれほどあっさりと変わっていくかを物語っているが、コンテが若いエメルソンを優遇したのは正しい判断だろう。そしてスペンスは22歳とエメルソンよりもさらに若く、昨シーズンのチャンピオンシップでの輝きは、この監督の要求の多くを満たしているように見えた。
しかし、今のところ、コンテは明らかに彼を評価しておらず、チームの長期にわたる課題は未解決のままである。