ライアン・セセニョンはまだ22歳だが、彼にとっては長い間、待ち望んでいたことだったように思える。
それは、16歳でフラムでデビューし、その後、ユース・イングランド代表の偉大な世代の一員となり、2017年にはU-19欧州選手権を制し、ジェイドン・サンチョ、カラム・ハドソン・オドイ、タミー・エイブラハム、エミール・スミス・ロウといった当時のサウスロンドン出身の新星の中でもセセニョンは最高の1人として注目されていたことに起因する。
2018-19シーズンにフラムがプレミアリーグに昇格したときも、2019-20シーズンにスパーズに移籍したときも、そこからいっきに飛躍するためにきっかけになるかと思われたが、徐々にやや物足りなさを感じるようになった。2020-21シーズンにホッフェンハイムにローン移籍した際には、成長への期待は影を潜めてしまっていた。しかし、静かに、かつて猛獣のようなユースの選手として誇示していた自信をセセニョンは取り戻していった。
ロンドンのワンズワース区の生まれだが、両親のルーツはベナンであるためセセニョンはフランス語に堪能で、ローン在籍中にドイツ語も覚え、多国籍のチームにうまく溶け込み、ブンデスリーガでまずまずのシーズンを終えた。
そして、アントニオ・コンテがスパーズにやってきてからは、その才能を開花させることに成功した。まだ始まったばかりだが、昨シーズン終盤の6試合に先発出場し、ますます成熟したパフォーマンスを見せた彼は、先週末のプレミアリーグ開幕戦で左ウイングバックとして起用されることになった。サウサンプトンに4-1で勝利したその試合で、トッテナムでの初ゴールを記録して良い兆候を見せている。
しかし、セセニョンはイタリア人指揮官の指導の方法論の完全には歓迎できないものもあるかもしれない。コンテのプレシーズンは悪名高い。この夏、チームはハリー・ケインをピッチ脇で嘔吐し、ソン・フンミンも倒れ込んだ42本の過酷なピッチ・ランニングを課された。このプレシーズンのコンテのトレーニングは、セセニョンにとって予想していた通りだったのだろうか？
「予想以上だったよ！」
「タフなトレーニングだとは思っていたけど、思ったよりもひどかった。韓国での42本、ピッチの長さのランニングをやったけど、あの量の走り込みはクレイジーだった。他の選手のように体調を崩していたわけではないけどね。でも、僕も膝をついていたよ」
