足踏み状態の監督に率いられているトッテナムはどこにも行くことができないが、ダービーのライバルであるアーセナルは熱心に前進を続けている。
Guardian/Jonathan Liew
試合終了のホイッスルが吹かれ、さらにブーイングと乱闘がおさまった後、アーセナルの選手たちがジリジリと踊りながらコーナーのスタンドにいるサポーターのところへ向かうのを、イヴ・ビスマはトッテナムのチームの塊の中で一人じっと見つめていた。憧れと羨望と、そしてある種の好奇心を持って見ていたのだろうか。喜び？至福？祝勝？この奇妙で見慣れない光景は何なのだろうか？
そのとき、ビスマのチームメイトは、もちろん暖かいドレッシング・ルームに引きこもっていた。チームメイトはその場に留まることを望んでいなかったのだろう。そして、同様にトッテナムのファンもまた、慰めを求めて足早にハイロードを駆け抜けていった。アントニオ・コンテは、飽きることなく私たちに語り続けているように、まだこのクラブにいたいと思っている。いくつかの重要な条件が満たされればの話だが。クラブがこのように彼を失望させ続けるのは、結局のところ、彼のせいとは言い切れないのだ。
コンテは世界で最も偉大な監督の一人である。そこに皮肉も偽りもない。しかし、いくつかの監督とクラブは、単にお互いの相性が噛み合わないことがある。トッテナムはすでにBig 7の残りのクラブと6試合を戦って、チェルシー戦での終盤のゴールによる引き分けを除いて、すべて負けている。
コンテの才覚と経験は、大一番に立ち向かうためのものでなければ何なのか？彼のもとで何人の選手が成長し、改善し、新たなレベルに到達したのだろうか？もしもあなたがヨーロッパのエリートクラブのスポーツ・ディレクターで、トッテナムから若い優秀な才能を引き抜こうとしているとしたら、今後5年間のチーム作りのために誰に目をつけるだろうか？
デヤン・クルゼフスキはその有力候補として間違いないだろう。ロドリゴ・ベンタンクール、クリスティアン・ロメロあたりだろうか。フィットネスが保てれば、ハリー・ケインとソン・フンミンも。しかし、残りはおそらく選択肢にはならないだろう。夏に鳴り物入りでやってきたビスマは、日に日に後退している。ライアン・セセニョンも同じだ。ジェド・スペンスは一端の選手になる可能性があるが、すぐに化けることは無さそうだ。パペ・サールは有望だが、この規模の試合で2対4の中盤の制圧戦に驚きのデビューを飾らせるのは、純粋に怠慢の行為であり、そしてそれは予測可能な結果となった。
しかし、それは本当に問題ではない。トッテナムの選手たちの存在感が皆無のまま始まった試合において、彼らが自らの戦い方を見出そうとすると、メッキの剥がれた機能不全の悪臭が、あらゆる局面から発せられてしまったのだ。重すぎるボールタッチ。プレーを途切れさせるパス。そこから発展することが見込めない躍動できない選手へのパス。トッテナムの攻撃は、本当に信じられないほどの割合でウーゴ・ロリスの足元にボールが集まってしまい、まるでチームとして目指しているのが逆のゴールになってしまったかのようだった。
ピエール・エミール・ホイヴィアがクルゼフスキに斜めのパスを送ったかと思うと、ボールが的を外れるだけでなく、（スタジアムから南西5kmの）ホーンジーまで飛んでいったこともあった。そこに見えたのは恐怖であり、抗えない運命があり、フットボールクラブにおける「神の法則」だった。もし、パスがカットされてしまったら？ポゼッションを失ったら？アーセナルのカウンターに繋がったら？ミスをしないように…。とにかく、ミスをしないように…。
