スパーズの暫定監督は、リスクの高いヘッドコーチ抜擢を経て、長年の相方であるアントニオ・コンテとは異なるアプローチを取る必要がある。
Evening Standard/Dan Kilpatrick
先月、クリスティアン・ステッリーニは自分自身が監督になることが「夢」だと明かしたが、トッテナムの暫定ヘッドコーチは、こんなにも早く、こんな状況でその機会が訪れるとは思ってもみなかったことだろう。
ステッリーニは、アントニオ・コンテが日曜日の夜にクラブと双方合意の上で退団することになった後、アントニオ・コンテの推薦もあってシーズン最後の10試合をスパーズで指揮することになる。なお、実弟のジャンルカを除くコーチング・スタッフはすべてステッリーニとスパーズに残ることになった。これは異常なことであり、おそらく前例のない状況である。
ステッリーニとコンテの関係は、ユベントスでプレーしていた20年前にさかのぼり、ステッリーニはトリノでコンテを補佐した後、インテル、スパーズと続けて右腕として働いている。スパーズは、ライアン・メイソンが補佐するステリーニが、継続と変革のコンビネーションで勝利をもたらすと信じているが、この任命は明らかにリスクである。
ステッリーニは、コンテが胆のう摘出手術から回復している期間の5試合で指揮を執っており、スパーズはマンチェスター・シティ、ウェストハム、チェルシーに勝利。その後、FAカップのシェフィールド・ユナイテッド戦とプレミアリーグのウルブズ戦に惨敗したが、コンテは離脱中も先発メンバーの選考を行い、試合中の交代にさえ電話で指示を出していた。
ステッリーニは、セリエCのアレッサンドリアの監督として16試合指揮を執ったことがあるが、その評価は最終的に解任というかたちで下されたにもかわらず、これからスパーズで指揮を執らなければならない。
一方、48歳のステッリーニが慕い、尊敬している選手たちと打ち解ける時間を必要とせず、水曜日から代表戦を終えた選手たちがホットスパー・ウェイに帰ってくれば、すぐにでも再スタートを切ることができるはずである。
クラブ内外の支持を得られるような、すぐにできる簡単な改革がいくつかある。直前になってトレーニングのメニューを変えたり、予告なしに休暇をキャンセルするといったコンテが行った悪習を改善し、トレーニングのスケジュールを前もって決めることだけでも選手やスタッフの心をつかむだろう。
コンテは前もって計画を立てようとしないし、立てられないので、スパーズはワールドカップの間も施設の予約で後手を踏んでしまい、ビッグ6のライバルたちのように暖かい気候のトレーニング・キャンプを計画することができなかったのである。
戦術面でも、ステッリーニはサポーターを喜ばせるような調整をすぐに行うことができる。コンテの手堅い3-4-3ではない戦術的な柔軟性を示すことは手始めとして、選手たちにもっとボールを持つことを要求し、積極的に交代させることも必要だろう。