ケインは、1月の契約交渉の可能性について尋ねられた際にこう答えていた。
「正直に言えば、あまり話はしていないよ。これから数ヶ月の間に話はあるだろうけど、正直なところ、僕は今シーズンに集中して、チームのためにベストを尽くすだけだよ」
それ以来、このクラブの状況はほとんど変化しておらず、将来を明らかにして欲しいと望むのはケインも同じであろう。トッテナムでのさらなる年月がどのようなものになるのか、さらに進歩があるのかどうかを知りたいと思っているに違いないのだ。
スパーズが話し合いを急がないもう一つの理由は、今夏のケインの退団が例年と同様に難しいため、より多くの時間があると感じているからではないだろうか。
トッテナムは、残り期間を含めたその契約状況にもかかわらず、今夏に絶対的エースを売却するつもりは全くないとしている。
ケインは土曜日、プレミアリーグでのゴール数を203に伸ばし、歴代ゴール数で2位のウェイン・ルーニーとの差をわずか5ゴールとした。トッテナムのストライカーは、アラン・シアラーのプレミアリーグ通算260ゴールまであと57ゴールと迫っており、ゴール前でのスピードが落ちる気配がないため、この記録への挑戦が今後数年のうちに海外のクラブへの移籍を阻む可能性がある。
そのため、プレミアリーグのクラブが唯一の行き先となるだろうが、マンチェスター・ユナイテッドとチェルシーが、今シーズン終了後にこのストライカーを狙っている2つのビッグクラブとなる。
しかし、スパーズのダニエル・レヴィ会長がこの夏、イングランドのクラブからケインへの獲得オファーに応じるとは考えにくい。
とは言ってもレヴィは、ケインがチームにもたらす功績と、新たなストライカーと創造的なプレーメーカーの2人の加入で代替するための多額の費用に充当できる高額の移籍金とを天秤にかけることになるだろう。
その上、ハリー・ケインが去ったスパーズはチャンピオンズリーグに出場できる可能性が低く、クラブが受け取る巨額の賞金と放映権収入を逃すことになる。ちなみにスパーズは2019年のチャンピオンズリーグの決勝に進出したことで9000万ポンド、翌年はベスト16進出で6100万ポンドを稼いでいる。その収入は年を追うごとに増えていく一方だ。
だから、スパーズは2024年夏にケインをタダで失いたくないという意見もあるかもしれないが、上記の要素をすべて考慮すると、それほど切羽詰まった金銭的な判断にはならないだろう。
しかし、最初のステップは、トッテナムの未来がどうなるのか、キャプテンになる可能性を含めケインがそのすべてにおいてどのような役割を果たすのか、そして彼の目標にふさわしいタイトルを獲得できるのか、双方がじっくりと話し合う必要があるだろう。