アーセナルの中盤の圧倒的な支配は、10月にエミレーツでスパーズに3-1の勝利を飾った時とまったく同じストーリーとなったが、コンテはあの時の敗戦から何の教訓も得ていなかったかのようだった。イタリア人の3-4-3のシステムを柔軟に変更することを拒んでいるのが、ますます大きな代償を生んでおり、特にスパーズはそのシステムを機能させるためのチーム戦力が整っていないがために、カウンター・アタックを狙うそのシステムがアーセナルのポゼッション・スタイルに対して恐ろしく時代遅れだと感じさせた。
コンテのそのシステム選択がサールにとって過酷なデビューとなってしまったが、それでも彼は自分の力を発揮した。そして、ジミー・グリーブスの歴代ゴール記録にあと1ゴールと迫ったハリー・ケインが、同点に追いつくために中盤に下がってプレーすることになった。
コンテのもう一つの大きな選択も奇妙で、ライアン・セセニョンが経験豊富なイヴァン・ペリシッチよりも優先されて左ウイングバックを務めたが、これはおそらくサカの脅威に対抗するためだろう。
セセニョンはサカに背後を突かれ、サカのクロスを阻もうとしたセセニョンの足にあたったボールを、ロリスはゴールネットに突き刺してしまった。元フラムのセセニョンは、ラムズデールとの1対1となる決定機を迎えるなど、いくつかのチャンスがあったがそれらを無駄にしてしまった。
コンテの名誉のために付け加えるならば、ロリスは元旦のアストンヴィラ戦での先制点に続き、リーグ戦のホームゲーム2試合連続で、相手チームの先制ゴールに関わってしまったのは監督の責任ではない。
この試合の序盤には、ガブリエル・マルティネッリのプレッシャーを受けてロリスがずさんなパスをした後、自ら呼び込んだエンキティアの決定機に対して見事なセーブを見せていた。彼の動揺が、スパーズが決して立ち直ることのできない、悲惨な前半戦の低調なパフォーマンスを作り出していたのだ。
ロリスはクラブにとって素晴らしい貢献をした選手であり、ハーフタイム明けに再びウーデゴールとエンケティアのシュートを阻むセーブを見せたが、前回のエミレーツでの敗戦でもミスを犯し、ますますチームにとってお荷物になっているようだ。スパーズは夏に36歳のロリスの後継者の獲得を狙う予定だが、今月中に新しいゴールキーパーを補強ターゲットとする可能性もある。
この冬のほぼすべての試合と同様に、スパーズは後半に入ると改善し、デヤン・クルゼフスキ、ケイン、セセニョン、リシャルリソンの全員が、ラムズデールの守るゴールにシュートを放った。前半のうちにもラムズデールはソン・フンミンやイングランド代表キャプテンのケインのシュートを阻んでいた。
スパーズの後半の再びの立て直しもまた、序盤の45分間を無残なものであったことを強調しただけで、コンテが対処しなければならない心理的な欠点があることを示唆している。
このような状況の中、スパーズは試合後にブーイングを浴びせられたが、ホームの観客は本物の怒りというよりも無関心に近い感情で、今シーズンのパフォーマンスに基づいて、特段驚くこともなく、今回の敗戦を受け入れたようであった。
