このフットボールクラブのファンは、無冠が続いていることにますます不満を募らせている。
Mehul Srivastava, Samuel Agini, Arash Massoudi & Sujeet Indap/Financial Times
イラン系アメリカ人の大富豪であるジャーム・ナジャフィは、プレミアリーグのトッテナム・ホットスパーに対して37億5000万ドルという巨額の買収提案を準備していると、この計画を直接知る2人の人物が話している。
MSP Sports Capitalの会長であるナジャフィは、投資家たちのコンソーシアムと構成して買収オファーを提示しており、これらの関係者はスパーズのオーナーであるジョー・ルイスとクラブの会長であるダニエル・レヴィに数週間のうちに正式にアプローチすることになると述べている。
ナジャフィとMSPが主導するこのオファーでは、クラブの株式を約30億ドルと評価しており、それに約7億5000万ドルの負債が追加されることになる。MSPとそのパートナーは買収額の70%を負担し、アブダビを中心とする湾岸諸国の支援者が残りの30%を拠出する仕組みになっている。
ノースロンドンに本拠地を置くスパーズが買収されれば、プレミアリーグなどの大会でトロフィーに挑戦するための支出が増える可能性がある。バハマ国籍の億万長者ジョー・ルイスとレヴィが株式を保有するENICは、2000年に実業家のアラン・シュガーからクラブの26%の株式を2,190万ポンドで購入し、スパーズの経営に参入した。
そのENICがオーナーとなってからは、抜け目のない財務管理、新しいスタジアムの建設、安定したチャンピオンズリーグへの出場を実現するなど、その手腕が賞賛されている。
しかし、スパーズ・ファンはトロフィーの不足に不満を募らせ、最近ではオーナーであるENICに対する抗議運動が起こっている。クラブが最後に手にした大タイトルは、2008年のリーグカップである。ジョゼ・モウリーニョや現職のアントニオ・コンテらは、ハリー・ケインやソン・フンミンら高い評価を得ている選手を擁しているにもかかわらず、陳列棚にトロフィーを追加することができていない。
ナジャフィ率いる投資家グループのフットボールクラブへの関心は、その所有権を通じて得られる不動産や開発権にまで及んでいると、関係者は語っている。スパーズは2019年から近代的なスタジアムを本拠地としており、フットボールの試合以外にも、NFL(アメリカン・フットボール)の試合やラグビーの試合、音楽イベントなどを開催できるようになり、フットボールのチケット収入への依存度を下げる動きをしている。
ナジャフィは、英国プレミアリーグのクラブ・オーナーの仲間入りを目指す新たな米国人億万長者となる。昨年は、チェルシーが米国の金融業者トッド・ボーリーとプライベート・エクイティのClearlake Capitalが率いるコンソーシアムに25億ポンドで買収され、実業家ウィリアム・フォーリーが率いる投資グループがボーンマスを1億2000万ポンドで買収している。