かつては「おとなしい子猫」と呼ばれた一人の青年がいかにして、経営陣ですら手を下せない「不沈の反逆者(ボム・プルーフ・レベル)」へと変貌を遂げたのか。マット・ロー記者が、トッテナム・ホットスパーの主将クリスティアン・ロメロが掌握した強大な権力と、フロントへの不信を象徴する衝撃的なエピソードを暴いた。
レポート
トッテナムの主将クリスティアン・ロメロは、今やフロントにとって「手の付けられない反逆者」と化している。かつてはチーム内でも控えめな存在であったロメロだが、今では自身のSNSを武器にサポーターの心を完全に掌握し、クラブ上層部が公に罰することのできないほどの強大な影響力を持つに至った。
マット・ロー記者のレポートによれば、ロメロの反骨精神を象徴する決定的なエピソードは、昨季のヨーロッパリーグ優勝直後の祝勝会にある。
マンチェスター・ユナイテッドを破って栄冠を手にした夜、ロメロは周囲の目を憚ることなく次々とシャンパンのボトルを開け、「これはプレジデント(ダニエル・レヴィ)の奢りだ!」と叫び続けたという。これは、現場の努力や苦悩を十分に理解しようとしない当時の経営陣に対する、主将なりの強烈な皮肉であり、一種の宣戦布告であった。
ロメロは、不都合な時に沈黙を貫くフロントの体質を著しく嫌悪しており、この「シャンパン事件」を境に、彼の反抗的な姿勢はもはや隠し立てできないものとなった。
ロメロを「不沈(ボム・プルーフ)」たらしめているのは、自身のインスタグラムを通じたファンとの直接的な繋がりだ。不満がある際、メディアを介さず自らの言葉でサポーターに語りかけることで、圧倒的な支持を背景とした「盾」を構築した。
主力11名の離脱という窮状を放置したフロントに対し、「Disgraceful(恥ずべきこと)」という言葉でファンと共鳴したことも、この戦略的な自己防衛の一環と言える。経営陣が彼を処分すればさらなるファンの暴動を招くという膠着状態を、ロメロは緻密な計算の下で作り上げたのである。
