トッテナムは残留圏までわずか1ポイント差という極限の状況で、ロベルト・デゼルビを新指揮官に迎えた。イゴール・トゥドールが去り、残留を懸けた残り7試合に向け、イタリア人知将がどのような戦術で挑むのかに注目が集まっている。4月12日のサンダーランド戦に向け、代表ウィーク明けの準備期間を最大限に活用し、攻撃的なアイデンティティを再定義する3つのプランを詳報する。
レポート
『London Standard』のマット・ヴェリ記者による、デゼルビが提示する3つの攻撃的プランをお伝えする。
1. 4-2-3-1:ブライトン流の基本形
デゼルビの最も代表的なシステムはブライトンで愛用した4-2-3-1だ。トゥドール体制下での4-4-2からの変更となるが、トッテナムにはこの形に適した人材が揃っている。デゼルビの哲学において、サイドバックは高く、そしてワイドに位置することが求められるが、これはペドロ・ポロとデスティニー・ウドギの攻撃特性を最大限に引き出す設定だ。中盤ではアーチー・グレイとジョアン・パリーニャが「エネルギーと激しさ」を提供し、その前線にシャビ・シモンズを10番として自由に配置。前線からの守備に定評のあるドミニク・ソランケが最前線を務める構成だ。
予想スタメン(4-2-3-1):
ヴィカーリオ;ペドロ・ポロ、ロメロ、ファンデフェン、ウドギ;アーチー・グレイ、パリーニャ;クドゥス、シャビ・シモンズ、マティス・テル;ソランケ
2. 3-4-2-1:マルセイユでの柔軟な再編
デゼルビは直近のマルセイユにおいて、3-4-2-1のシステムで成果を挙げていた。この場合、新戦力のケヴィン・ダンソが3バックの右に入り、ロメロとファンデフェンと共に最終ラインを形成する。ペドロ・ポロとウドギはウイングバックとしてより高い位置で機能し、中盤の底にはアーチー・グレイとコナー・ギャラガーを配置。攻撃の核となるシャビ・シモンズは、マルセイユ時代のイーサン・ヌワネリのように、自由自在にポジションを変えながらチャンスを創出する役割を担う。負傷からの復帰が待たれるモハメド・クドゥスが右シャドーに入れば、極めて高い突破力を持つ攻撃陣が完成する。
予想スタメン(3-4-2-1):
ヴィカーリオ;ダンソ、ロメロ、ファンデフェン;ペドロ・ポロ、アーチー・グレイ、コナー・ギャラガー、ウドギ;クドゥス、シャビ・シモンズ;ソランケ
3. 4-2-2-2:不退転の「2-2-6」システム
もし試合中にリードを許す展開となれば、デゼルビは持てるすべてを投げ出す。その究極の形が4-2-2-2だ。これはリシャルリソンとソランケの強力な2トップを同時起用するための最善策であり、泥臭く勝ち点を拾ってきたブラジル人の闘争心を最大限に活かす布陣だ。中盤にはルーカス・ベリヴァルを加え、デゼルビ好みの推進力を注入。攻撃時にはポロとウドギがオーバーラップし、クドゥスとマティス・テルが中央へ絞ることで、実質的に「2-2-6」という驚異的な攻撃布陣へと変貌する。ファンが熱狂するような圧倒的な攻撃インテンシティによって、残留への道を切り拓く狙いがある。
予想スタメン(4-2-2-2):
ヴィカーリオ;ペドロ・ポロ、ロメロ、ファンデフェン、ウドギ;アーチー・グレイ、ベリヴァル;クドゥス、マティス・テル;リシャルリソン、ソランケ
記事解説
10日間で浸透させる「ハイリスク・ハイリターン」の美学
デゼルビ招聘というフロントの決断は、残留争いという極限状態において、組織のアイデンティティを根本から書き換えるという大胆な賭けだ。デゼルビのフットボールは、自陣深くからのハイリスクなビルドアップと、電光石火のスピードによって定義される。サンダーランド戦までのわずか10日間という準備期間で、自信を喪失していた陣容にこの複雑なメカニズムを植え付けることは、並大抵の作業ではない。しかし、中途半端な延命ではなく、独自の戦術色(tune)を明確に打ち出すことで、停滞していた雰囲気を一気にポジティブなエネルギーへと転換させる狙いがある。代表ウィーク明けのピッチで、我々はこれまでの停滞を切り裂くような、新しいトッテナムを目撃することになるだろう。
シャビ・シモンズの解放:10番としての覚醒
デゼルビ体制下で最も恩恵を受けるのは、シャビ・シモンズである可能性が高い。これまでの陣容において、彼は時にサイドに縛り付けられ、その創造性を100%発揮できずにいた。デゼルビはマルセイユ時代、10代のヌワネリに自由を与えて攻撃を加速させたように、シモンズに対しても「自由な10番」の役割を託すはずだ。彼が中央でボールを保持し、ウドギやポロの走力を引き出す羅針盤として機能し始めた時、トッテナムの攻撃は真のインテンシティを取り戻す。ソランケやリシャルリソンという強力な「槍」に対し、いかに質の高い供給を行えるか。イタリア人知将と若き至宝の化学反応こそが、残留を確信に変える最大の燃料となるだろう。
情報元:Three ways Tottenham could line up under Roberto De Zerbi – Evening Standard
Quiz Cockerel
デゼルビが描く「超攻撃的」布陣
今回のレポートにおいて、デゼルビが追い上げの場面などで採用するとされる、攻撃時に実質「6人」の前線を形成するシステムの呼称はどれか?
1. 4-4-2
2. 3-5-2
3. 2-2-6
4. 5-4-1
正解:3
正解は「2-2-6」だ。デゼルビは4-2-2-2の布陣から、両フルバックを極端に高い位置に上げ、サイドのアタッカーを中央へ絞らせることで、相手を圧倒する攻撃の波を作り出す。この不退転の姿勢が、残留を争うライバルたちへの強烈な回答となることが期待されている。

