【因縁】ジョンソンが古巣に帰還。豪州で犯した「禁断の不文律」破りと190億円超の売却益

元トッテナムのブレナン・ジョンソンが、今冬の移籍後初めてノースロンドンの地を踏む。かつてのヨーロッパリーグ優勝の英雄が直面しているのは、古巣との再会だけではない。彼が以前の豪州遠征で図らずも犯してしまった、フットボール界の「禁断の不文律」が再び脚光を浴びている。

POINT

・ブレナン・ジョンソンが移籍後初の古巣戦へ。 昨季のEL決勝でマン・ユナイテッドを沈めた男
・2024年5月の豪州遠征中、現地の「不文律」を破っていたことが判明
クラブ史上最高額の3,500万ポンドで売却。 107試合27ゴールの実績を残したウェールズ代表の帰還

レポート

メルボルンでの「シェリン」騒動

トッテナムが木曜日の夜にホームで迎えるクリスタル・パレス戦において、最大の注目選手の一人は間違いなくブレナン・ジョンソンだ。今年1月、パレスのクラブ史上最高額となる3,500万ポンド(約73億円)で移籍した彼にとって、これが初の古巣対戦となる。しかし、この一戦を前に、彼がトッテナム在籍時にツアー先のオーストラリアで見せたある行動が改めて話題となっている。

2024年5月、当時のアンジェ・ポステコグルーの下でオーストラリア遠征を行ったスカッドは、メルボルン・レクタングラー・スタジアムで公開トレーニングを実施した。セッション終了後、選手たちが観客に挨拶をしながらピッチを周回していた際、スタンドから「シェリン(Sherrin)」と呼ばれるオージーフットボールの公式球がジョンソンに向けて投げ込まれた。ジョンソンは一瞬ファンブルしたものの、そのボールを拾い上げ、親切心からスタンドへと投げ返した。この何気ないファンサービスが、実は豪州スポーツ界における大きなタブーに触れていたのだ。

オーストラリアにおける「禁断の宣伝」

一見すると無害なこのやり取りだが、フットボール・オーストラリア(オーストラリアのフットボール統括団体)は、訪豪した他競技のスター選手がライバル競技であるオージーフットボールの公式球を持つことを事実上禁止している。これは、世界的なタレントがオージーフットボールの宣伝に利用されることを防ぐための措置だ。

過去にはマンチェスター・ユナイテッドのマーカス・ラッシュフォードがシェリンを持って写真撮影に応じた際、現地の著名なパンディット(解説者)であるルーシー・ゼリッチが「あまりに恥ずべき(embarrassing)PR活動だ」と激昂した経緯がある。

ゼリッチは「マーカスが突然オージーフットボールのチームと契約するとでも言うのか? フットボールのファンを惹きつけるべき時期に、他競技の宣伝をするのは時間の無駄だ」と断じ、統括団体の管理不足を厳しく批判した。ジョンソンはこの「不文律」を意図せず犯してしまった形だが、当時のSNS上でも一部で困惑の声が上がっていた。

英雄の帰還とパレスでの再出発

ピッチ外でのこうした騒動はあったものの、トッテナムにおいてジョンソンが残した足跡は輝かしい。公式戦107試合に出場して27ゴールを記録。何より、昨シーズンのEL決勝においてマンチェスター・ユナイテッドから奪った決勝ゴールは、クラブの歴史に永遠に刻まれる瞬間だった。

現在、ジョンソンは新天地パレスで未だ初ゴールを挙げられていないものの、先週末のマンチェスター・ユナイテッド戦では初アシストを記録し、徐々にコンディションを上げている。かつて「自分たちは常に家族だ」とファンに語った24歳のウェールズ代表が、今度は敵としてトッテナム・ホットスパー・スタジアムの芝を踏む。イゴール・トゥドール率いる今のトッテナムにとって、彼が持つ爆発的なスピードは残留を争う戦いの中で最大の脅威となるだろう。

背景・ソース

今回の情報は、トッテナムの移籍やスカッド事情を追うfootball.londonの最新レポートに基づいている。ジョンソンが豪州で見せた小さなファンサービスが、なぜ現地で政治的な意味合いを持ってしまったのか。そして、EL優勝の功労者がなぜこの冬にライバルクラブへと売却されるに至ったのか。残留争いというシビアな現実の中で行われる今回の再会は、ピッチ内外で重層的な意味を持っている。

参照元:Brennan Johnson broke one of the most controversial unwritten rules before leaving Spurs

Quiz Cockerel

ブレナン・ジョンソンがトッテナム在籍時に残した最も輝かしい功績として、昨シーズンのどの大会の決勝でマンチェスター・ユナイテッドを破るゴールを決めたか?

1. チャンピオンズリーグ(CL)
2. ヨーロッパリーグ(EL)
3. FAカップ
4. カラバオ・カップ(リーグカップ)

    正解:2

    正解はヨーロッパリーグだ。ジョンソンは昨季のEL決勝で、強豪マンチェスター・ユナイテッドを相手に見事なゴールを沈め、チームを欧州制覇へと導いた。107試合で27ゴールという数字以上に、この「大舞台での勝負強さ」こそが彼の真骨頂であった。

    スパーズジャパンの考察

    1. 3,500万ポンドの売却益と「後釜」不在のジレンマ

    経営的な視点で見れば、1月に3,500万ポンドという多額の移籍金を得たことは成功と言える。しかし、戦術面ではEL優勝の立役者を失った穴は大きい。イゴール・トゥドールが求める「兵士」の精神を体現できる、スピードと得点力を兼ね備えた代役の確保が遅れている現状は、現在の残留争いという苦境に直結している。この売却が「英断」だったのか「失策」だったのかは、今季の最終順位が出るまで答えは出ない。

    2. エモーショナルな再会と、迫り来る「現実」

    サポーターにとって、ジョンソンは家族のような存在だ。EL決勝での劇的弾の記憶は鮮明であり、多くのファンが彼への感謝を抱いている。一方で、降格圏が背後に迫る今、感傷に浸っている余裕はない。彼がパレスのユニフォームを着てN17のネットを揺らすようなことがあれば、それはファンにとって耐え難い悲劇となる。スタンドからの温かい拍手と、試合中の激しいブーイングが入り混じる複雑な夜になるだろう。

    3. PR大国オーストラリアの「誇り」と「狭量」

    ジョンソンがオージーフットボールのボールを投げ返しただけで騒動になるというエピソードは、豪州におけるフットボール(サッカー)の地位を巡る闘争の激しさを物語っている。現地の人々にとって、世界的なスターが自国の人気スポーツを「ついで」に宣伝することは、アイデンティティの侵害に近いと感じられるようだ。