/【コラム】シュート数不足に苦しむ故障復帰後のハリー・ケイン

【コラム】シュート数不足に苦しむ故障復帰後のハリー・ケイン

 

それとは逆に負傷から復帰して以降、ケインは実際そういうプレーをやっていない。事実としてケインのシュート数は驚くほど減っているのだ。復帰以降のクラブと代表戦合わせて19試合で、1試合平均2.57本のシュートを放ったのみである。これはキャリアの中でもずば抜けて低い数字だ。より完璧な事実をあげよう。昨シーズン、負傷前にケインは42試合を戦っており、そのうち29試合では5本以上のシュートしている。通常は1試合で9本から10本のシュートだ。だが、復帰後の19試合では5本のシュートが一度だけ。5月のウェストブロムウィッチ・アルビオン戦のみである。

それがまだ同様に質の高いシュートであれば、それほど懸念する必要はないのかも知れない。だがここでもまた、不吉な物語を予兆する数字がある。2014-15シーズンにわずかに落ち込んだ際以外は、そのキャリアを通して、ケインの1試合平均で枠内シュート数は2本強を維持している。昨シーズンの負傷前には、1試合平均の枠内シュート数は2.46本だ。だが、怪我から復帰した後は、キーパーと直接対峙する頻度が減っている。復帰後の1試合平均の枠内シュート数は0.99本なのだ。ゴールの期待値(シュート数に対する好機数の評価値)もまた、半減した。昨シーズンの負傷前は1試合平均0.85本、復帰後が0.43本である。

 

今シーズンはここまでシュート数も枠内シュート数も激減している。

 

何が原因か?ヒントのひとつは、ケインがプレーするエリアにあるのかも知れない。負傷からの復帰後は、ケインはボックス内にそれほど多くは入ってきていないように見える。数字にそれが見て取れるのだ。昨シーズンの負傷前には1試合平均7.20回、相手のボックス内でボールに触れているが、復帰後の数字は4.35回に落ちている。驚異的なペースでゴールを量産するストライカーには珍しく、ケインは相手の守備陣の裏へ抜けることは稀である。多くのゴールは、ペナルティエリアで敵味方が密集し、相手ディフェンダーが詰めてきている状態から生まれている。肉体的にも精神的にも負傷の影響が長引くことで、そうした厳しい守備が引かれているエリアに入り込むことを、ケインは渋っているのかも知れない。そうしたエリアではストライカーの怪我のリスクは高くなるものだ。

ではそれは懸念材料か?と言うと、イエスでもありノーでもある。一方で、現時点では極めて明らかだが、ケインは怪我前と同じ種類のストライカーではない。昨シーズンの驚異的な得点記録の数字は低下し、現時点では以前のレベルに戻る気配もほとんどない。また一方では、彼は相変わらずゴールを決めており、まずまずの結果を出す、異なったタイプのストライカーとなる兆候がある。

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