/【コラム】シュート数不足に苦しむ故障復帰後のハリー・ケイン

【コラム】シュート数不足に苦しむ故障復帰後のハリー・ケイン

 

この事実が真に問題とすべき唯一のものだとの論は、全く間違いの無いものである。現実問題として、当然のことながら、それはその通りだからだ。ケインがこのペースでゴールを獲り続けるのなら、トッテナムとイングランドにとってとてつもない財産となり、世界でベストのストライカーというカテゴリーに含まれ続けるだろう。しかし、もう少し掘り下げてみれば、明らかに負傷後、ハリー・ケインは以前と同じプレーヤーではない。

ストライカーを氷山だと仮定してみよう。得点は海上に出ているその一角のようなものだ。誰もが認識できる唯一の部分である。だが、その全容から考えるとほんのわずかな部分に過ぎない。海面下にはそのゴール数を上昇させるべく、多大な働きが潜んでいるのだ。そして、依然ケインが一定のレベルでゴールを量産しているように見えようとも、負傷以降の彼のプレーは、危険なまでに下降しているのである。

ハリー・ケインを偉大なプレーヤーにしている主な理由、彼の優秀さを示すフットボールの統計記録は、おそらくその信じれないほどのシュート数である。例えば、Opta(英国のスポーツ統計会社)提供の統計によると、2016-17シーズンには1試合当たり3.6本のシュートを放った。昨シーズンの負傷前には1試合当たり5.96本である。この数字は特別目を見張るものでもなければ、それほど重要なものにも見えないかも知れない。ところで、どなたかゴールにについてもう少し掘り下げて見ることができないものか?現実的にはやはり、多くのシュートを放つとはいっても信頼性こそが偉大なストライカーと見做すことのできる指標である。ケインの場合と同様、昨シーズンの欧州トップ4のリーグで、1試合平均のシュート数のトップランキングの選手たちは、クリスチアーノ・ロナウド、リオネル・メッシ、ロレンツォ・インシーニェ、エディン・ジェコ、ロベルト・レヴァンドフスキであり、偉大なストライカーとシュート数の多いストライカーの相関関係は明らかだ。

 

負傷以前の1試合当たりのシュート数は5.96本。負傷以降は2.57本と激減。

 

何がピッチの上でケインとその他の選手を隔てているかを考えてみれば、それは頷けるだろう。例えばこういう状況を想像してみよう。ゴール20ヤード(約18メートル)のところでケインの脇にボールが来た。おそらくは逆足の方からディフェンダーが寄せてくる。通常のストライカーなら一度ボールタッチしてディフェンダーに体勢を整える隙を与え、結果チャンスを逃すこととなる。ケインが卓越している理由は、ベストの状態なら自身の体勢を整えて一瞬早くシュートを打ってくるところだ。

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