/【コラム】シュート数不足に苦しむ故障復帰後のハリー・ケイン

【コラム】シュート数不足に苦しむ故障復帰後のハリー・ケイン

3月11日、バイタリティ・スタジアムでのボーンマス戦の29分。相手キーパーのアスミル・ベゴビッチとぶつかったハリー・ケインは足首を捻った。クリスチャン・エリクセンからネイサン・アケの脇をするりと抜けるボールが、エリア内ゴールまで7メートル強の位置に届き、ハリー・ケインが(オフサイドの位置だったが)サイドキックのハーフボレーでこれに合わせた。その一瞬後にベゴビッチが脚を伸ばし、ケインと衝突。結果、彼の左足がケインの右足首を挟み込む形となった。

 

その試合、私はその場にいた。小雨の篠突くパッとしない日曜の午後。トッテナム・ホットスパーの偉大な物語だったチャンピオンズリーグで、ユベントスに敗退した直後だった。当初は、このイングランドのベストプレーヤーにとって特別な瞬間であり、そのキャリアの重大な岐路となるものには見えなかった。ケインは叫び声をあげたり、痛みに苦悶したりはせず、懸念すべき負傷というよりは軽い不快感を覚えるといった様子で足首をおさえ、数分後に足を引きずりピッチを後にした。だが当然ワールドカップを3ヵ月後に控えており、この春の話題はイングランド中が「中足骨」という言葉の知識をスポーツ関連の記事に求めることになった。ケインは保護ブーツを着用してスタジアムを後にし、その後の数週間、彼の体調についての話題は、国民の心配の種となった。果たしてケインはワールドカップで活躍すべく復調するのか?

その後、何が起こったかは周知の通りである。一ヶ月後にケインは復帰し、4月1日のチェルシー戦で16分間の顔見世出場を果たす。続く4月7日のストーク・シティ戦では先発。その試合でゴールを決め、シーズン残りの6試合でさらに5得点をあげている。その後、ワールドカップへと出向き、ケインはゴールデンブーツを勝ち獲り、同時にギャレス・サウスゲイト監督が率いるイングランド代表は、この世代の代表として初めて最も上位まで進出した。ああ、そしてケインはBBCの「スポーツ・パーソナリティ・オブ・ザ・イヤー(年間最優秀スポーツ選手賞)」の最有力候補でもある。全ては順調。ハリー・ケインには何も問題などない。

 

負傷以前の1試合当たりのゴール数は0.99ゴール。負傷以降は0.79ゴール。

 

だがしかし…。本当にそうだろうか?表面的にはケインが負傷前とそう変わらぬペースでゴールを生み出しており、それは否定すべきもない。復帰戦となったチェルシー戦以降、クラブと代表を通じて19試合で15ゴール。90分で0.79ゴールのペースである。昨シーズンの負傷前に記録した90分で0.99ゴールにはわずかに及ばないが、十分にエリート・ストライカーと呼ぶに値する立派なものだ。

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