/【コラム】ハリー・ウィンクス:今こそ「リトル・イニエスタ」が輝く瞬間(とき)

【コラム】ハリー・ウィンクス:今こそ「リトル・イニエスタ」が輝く瞬間(とき)

 

モドリッチが織りなすAからBへのボールの供給に関して、彼の右に出るものはいないと思えるほどの妙技であり芸術であった。彼のチームメイトはいとも容易く敵の背後をとり、味方のゴールへ繋げることができていたのだ。

今回、ウィンクスのトリッピアへのパスは、まさにモドリッチを彷彿とさせるものだった。さらにモドリッチやキャリックが担ってきたスパーズの血管としての役割が、まさにウィンクスの重要性を裏付けるものとなるであろう。

ウィンクスが前述した偉大すぎる2人のプレーメイカーを追い抜くことは、現時点ではまだ酷な話だろう。しかし、味方チームに良いリズムやテンポを与える能力に関しては、彼ら2人と既に肩を並べる領域にいるかもしれない。彼らが持つバランサーとしての能力は、まるでリーアム・ニーソン(「スターウォーズ エピソード1/ファントム・メナス」(1999年)の主役クワイ=ガン・ジン役の俳優)が、「96時間/リベンジ」(2012年)で演じた元CIA調査官のような脅威にさえ感じる。

話をワトフォード戦に戻そう。1点を追っていたスパーズは、残り時間5分の場面でウィンクス投入に動いた。そして彼はわずかな時間の中で10本のパスを通した。前述のトリッピアへのパスもそれに含まれている。しかし、彼にとってあまりにも時間が少なすぎた。さらに、スパーズの前半の出来は、まるで友達に付き合っているかのようなテンポの悪さとスピードの無さであり、マウリシオ・ポチェッティーノ監督をひどく苛立たせていた。そして、ウィンクスのその目立たない働きは、ポチェッティーノに疑問を抱かすことになるだろう。

「なぜ彼の背番号をもっと早く8番をピッチに送り出さなかったのか?」

ワトフォードはこの試合で中央を極端に締めた4-2-2-2のフォーメーションを組んできた。ワトフォードのハビ・ガルシア監督はスパーズへの対策として中央のエリアを堅く閉じ、あえてスパーズのサイドバックのいるワイドにボールを持たせてボックス内にクロスを入れさせる作戦を講じた。その作戦は奏功し、中央で山のように聳え立つ(そびえたつ)カバセレとカスカートがいとも簡単にボールをはじき返し、加えてカプーとドゥクレのタワービル2棟もディフェンスに回り守備を固めた。

このような戦況はトッテナムにとって都合が悪く、素早くボールを右へ左へ散らすことが必要となるが、この日のスパーズからワトフォードのディフェンス陣を混乱に陥れるような早い展開力は感じることができなかった。