/ハリー・ケイン、ゼロから100までの道

ハリー・ケイン、ゼロから100までの道

結局そうなったよ。僕を留めておいてはくれたしファーストチームと練習もした。この事は本当に僕の自信にとってターニングポイントとなったね。常に自分に能力はあると感じていたけど、あと一歩、前に出て立ち上がる必要があったんんだ。言わば、子供の頃からの夢がそこに見えている、まさに目の前に。でも、あと少しのところで手が届かない。誰かがそれを「はい」と言って手渡してくれえるのを待っている、みたいな感じかな。でも、人生では待っていても何も起こらないんだ。違うかい?

自分で掴みに行かなきゃ。

 

 

トレーニングでは絶好調だったけど、それでも試合には出れなかった。冬に監督が解任になってティム・シャーウッドが指揮を執り、僕にチャンスをくれたんだ。それからは、いわゆる「歴史が始まった」ってやつかな。最初の3試合で3ゴールを決めた。それはもう信じられない感覚だよ。特にホワイトハート・レーンでの最初のゴールはね。でも、本当のところは、その最初のゴール(ゴール・ナンバー1)を記録するその前に、僕が経てきた全ての道。それが今の僕を作っているんだ。

翌シーズン、マウリシオ・ポチェッティーノ監督が来たとき、ご存じのとおり全てが変わった。僕にとってだけじゃなく、クラブにとってもね。マウリシオよりも大きな衝撃を感じた人物はいないよ。何故なら、素晴らしい管理理念をクラブにもたらしただけじゃなく、チームのみんなを一つにしたのさ。彼自身、凄いキャリアの持ち主だけど、そのことについてはほとんど話さないんだ。自分のことなんて一切ないね。全ては選手たちの手助けをすること。最高の選手でも上手くいかずに苦しんでいる選手でもだよ。もちろん、ハードワークを嫌って怠けていたら...そういう選手に対しては非情だよ。そこでお終い。試合に出れないし、話をする機会もなくなる。でも、彼に敬意を払い彼のために一生懸命やれば、彼はこの世のすべての時間を与えてくれるんだ。

 

 

フットボールの思い出で一番気に入っている瞬間は、何シーズンか前にハットトリックを決めたときかな。試合の後マウリシオから彼のオフィスに呼ばれてね。当時、僕たちの仲は親しいものではあったが、もの凄く親しいと言うほどではなかった。何の用事なのかは分からなかったよ。で、ドアを開けたら...。彼は赤ワインのグラスを片手にデスクに座っていたんだ。多分、上質なマルベック(フランス南西部のフルボディ赤ワイン。フランス以外ではアルゼンチンも生産)か何かかな。満面の笑みを湛えてね。僕に手招きをしながらこう言ったんだ。

「こっちへこいよ。写真撮ろう」

 

片手を僕の肩に回してもう一方の手にはワインのグラスを持って、写真を撮った。最高だったね。この時が「ワオ、この人はスペシャルな人だ」って思った最初かな。もう本当にファンタスティックな男だよ。もちろん彼を監督としても上司としても尊敬している。でも、フットボール以外の場では本当に友達でもあるんだ。彼のおかげでチームのみんなはとても近しくなった。僕らは本当の友達同士なんだ。今のフットボール界では珍しいことだと思うよ。

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