プレミアリーグでのこんなに低い順位は、クラブの名声や財務状況にとって打撃であることは言うまでもない。2004年にマルティン・ヨルが就任して以降(そこがENIC体制が本格始動した時代とされる)、スパーズはトップ10圏外になったのは一度だけであり、それは2007-08シーズンで、そのときはヨルは10月に解任され、フアンデ・ラモスが後任となった。
トッテナムの「売り」は、ライバルたちよりもずっと安定した順位であるという点だった。しかし今回、彼らはその「底」すら突き抜けてしまった。リーグ順位1つにつき約300万ポンド(約410万ドル)の賞金が得られることを考えれば、この失敗のコストは明白である。The Athleticは、17位で終えたトッテナムが1億3040万ポンドを受け取ると試算している。前年のポステコグルー初年度に達成した5位は、1億6660万ポンドの価値があった。

それだけでも、監督交代の正当性となりうる。
過去に監督を解任したときのリーグ状況を思い出してみてほしい。アントニオ・コンテが解任された2023年、トッテナムは4位だった。2021年にヌーノ・エスピリト・サントが解任されたときは9位、同年のジョゼ・モウリーニョは7位、2019年のポチェッティーノは14位だった。今回の違いは、ポステコグルーがシーズン中に解任されることは一度もなかったという点だ。過去4シーズンのうち2度、暫定監督で終えていたトッテナムにとって、これは見栄えの悪い状況だった。そしてポステコグルーをシーズン最後まで続投させるという方針は、ビルバオによってはっきりと報われた。
では、なぜそれほど悲惨なシーズンになったのか?
ポステコグルーはリーグ順位の現実から逃げたことはなく、それを「文脈の中で判断してほしい」と求めてきた。彼の主張の中核は、スパーズが壊滅的な負傷危機に見舞われたという点にある。シーズン中盤には、ほぼ1チーム分の選手を負傷で失った。中でも痛手だったのは、センターバックのクリスティアン・ロメロとミッキー・ファンデフェン、彼らは2人とも最も重要で優れた選手であるが、ほぼ4ヶ月間欠場した。ロメロは足と太ももの負傷。ファンデフェンは2度のハムストリング負傷。彼らこそがチームの屋台骨であり、代役は存在しなかった。ポステコグルーはまた、守護神グリエルモ・ヴィカーリオを足首骨折で3ヶ月失い、その時点ではエリート級の控えゴールキーパーはいなかった。シーズン終盤には、クリエイティブなミッドフィルダーであるデヤン・クルゼフスキとジェームズ・マディソンも膝の負傷で離脱していた。
スパーズが抱えた全ての負傷者を列挙しようとすれば、1日かかるだろう。代わりに、昨季のプレミアリーグにおけるスカッドの出場時間のシェアを示すグラフを見てほしい。75%以上の出場時間を記録したのはペドロ・ポロただ1人だった。
