翌朝、コンラッドが朝食をとっていると、誰かが彼の肩に手を置いた。アンジ・ポステコグルーだった。彼はワインだけでなく、その手紙についても感謝を述べた。それは彼にとって非常に意味のあるものだったという。そして彼はお返しとして贈り物を持ってきた。トッテナムのホーム・ユニフォームだ。そこにはポステコグルー自身がこう書いていた。
「ジェズへ。アンジより。COYS!」
コンラッドは感情を抑えるのに必死だった。
そのやり取りから1週間後、そしてビルバオでの快挙からわずか16日後。ポステコグルーはトッテナムの監督を解任された。
彼は2023年6月にサインした3年契約(+1年延長オプション付)のうち、まだ1年を残していた。
クラブの声明ではこう述べられている。
「クラブは、アンジがこの2年間に示した献身と貢献に深く感謝しています。アンジは、クラブの歴史において欧州のトロフィーをもたらしたわずか3人目の監督として、ビル・ニコルソンやキース・バーキンショーというレジェンドたちと並び、永遠に記憶されることになります」
「しかしながら、取締役会は満場一致で、「ここで変化を起こすことがクラブの最善の利益にかなう」と結論づけました」
これは、ここ数年で最も劇的で、賛否が分かれる時代の終焉を意味する。スパーズがクラブ史上かつてないほどのペースでリーグ戦に敗戦を積み上げ、一方で30年以上ぶりの最大のタイトルを獲得した時代である。チームはある特定のプレー・スタイルで象徴されるようになりながらも、そのスタイルとは真逆の方法でトロフィーを勝ち取った。プレミアリーグの中でも最弱のチームに負けたかと思えば、最も重要な欧州の舞台では勝利を収めた。
下に示す「xG」(ゴール期待値)の推移のチャートは、ポステコグルー就任当初の良好であることを示しているが、シーズンの約3分の1を過ぎたところで、攻撃面・守備面の両方においてかなり急激な低下が見られる。
