つまり、レヴィが単独で、ポステコグルーを含むクラブの「2年おきの総掃除」を続けるか否かを決断することになる。なお、ポステコグルーは、過去5年で唯一フルシーズンを務め上げたスパーズのヘッドコーチである。
レヴィにとって大きな問題の一つは、多くのスパーズ・ファンがポステコグルーの支持にしっかりと付いていることだ。彼がファンにとって数十年ぶりの最も思い出深い夜を届けたからだ。
リーグでの惨憺たるシーズンをいまだに指摘する声もあるにはあり、これは歴史が忘れても無視はできないが、数字はオーストラリア人の味方をしている。パレードに集まった推定22万人のファン、そして最終節でのスタンドの反応、さらにSNSでの投票などを見るに、大多数がポステコグルーは「より実りある」と彼自身が語った3シーズン目に進む資格があると信じているのだ。
レヴィが直面するもう一つの問題は、後任である。マウリシオ・ポチェッティーノを解任した際には、勝利を知る男ジョゼ・モウリーニョという後釜がいた。アルゼンチン人がクラブに捧げた努力を思えば、その冷酷な決断は多くのファンにとって胸を裂くものだったが、モウリーニョの実績を見れば、ある意味で説明可能ではあった。もちろん皮肉なのは、そのポルトガル人をレヴィがトロフィー獲得目前で解任してしまったことだ。
しかし2025年は、当時とはまったく異なる監督市場となっている。たとえばトーマス・フランクやマルコ・シウバといった名前は、確かに優秀な指導者ではあるが、もしポステコグルーが夢のような瞬間をファンにもたらした直後に解任され、その代わりにプレミアリーグで10位と11位に終わった監督が来るとすれば、その反応は凄まじいものになるだろう。そして来シーズン、何かがうまくいかない瞬間に、スタンドでは「ポステコグルー」の名前が気まずくも歌われることになる。
ポステコグルーを解任すれば、今後ずっと「あの先はどうなっていただろう」という疑問がつきまとうことになるし、「ついに“Spursy”なレッテルを払拭したかに見えて、やはりSpursyだった」とあざ笑われることにもなりかねない。
フランクは多くのブックメーカーで最有力とされているが、ポステコグルーとしては、この男との過去2シーズンでの対戦成績が4試合で3勝1分だったを指摘するかもしれない。デンマーク人の戦術眼が称えられ、オーストラリア人が戦術のない人と揶揄される中で、直接対決の結果は一方的だった。
フランクもシウバも、プレミアリーグでは安定感のある監督だが、後者についてはエヴァートンやハルのファンは異論があるかもしれない。どちらも、欧州戦の負担を抱えることなければ、チームをプレミアリーグの中位に導くことができるレベルの監督である。
そこにまたひとつ皮肉がある。ポステコグルーに対する懸念の一部は、彼のプレースタイルが4つの大会を並行して戦う中で持続可能なのか、という点にある。しかしシウバは、欧州大会での指揮経験が一切ない。フランクの経験も、10年前にブレンビーで数試合の予選を戦ったに過ぎない。


