彼のフットボールはオーストラリア、日本、スコットランドでは通用したが、イングランド1部の厳しい世界ではその欠点が露呈した。ポステコグルー率いるトッテナムはプレミアリーグで64ゴールを挙げた。これは4位のチェルシーと同数であり、12クラブ以上を上回る数字であるが、あまりに簡単にゴールやチャンスを許してしまった。
今季、トッテナムの63失点より多くのゴールを許したのは、降格した3チームとウルヴズだけだった。また、相手に許したxG(期待値ゴール数)は64.4で、これも下位3チームを除けばリーグ最悪である。守備のスタッツから見れば、彼らが17位に終わったのは当然の結果だった。

ポステコグルーが就任以来一貫して掲げてきたのは、「フットボールは観ていて楽しいものであるべきだ」という理念だった。昨年12月、ユナイテッドとのリーグカップ準々決勝で4-3の勝利を収めた後にはSky Sportsのインタビューで「面白かったでしょ?」とまで語っていた(ただし、スパーズは3-0から追いつかれかけていた)。
そのアプローチは、勝っている間は問題にならなかった。2023-24シーズン序盤の無敗10試合を通じて、彼はイングランドでのデビューを鮮やかに飾り、ジョゼ・モウリーニョやアントニオ・コンテの退屈なフットボールに飽きていたファンたちから大きな支持を得た。
しかし、相手チームがスパーズの戦い方を分析し、その向こう見ずな戦術が機能しなくなっても、彼はなおも自らのスタイルに固執し続けた。どんな状況であろうとも試合運びを変えなかった。そして「それが我々のやり方だ」などと語るたびに、彼は批判の対象となった…。それも当然である。


