レヴィと選手や監督との関係
レヴィはフットボールに関する事柄から手を引こうと、多くの幹部を任命してきたが、それでもなおスパーズのあらゆる分野に関与している。補強においては、スポーティング・ディレクターのヨハン・ランゲとスカウティング部門責任者のロブ・マッケンジーが特定ポジションのターゲットを話し合う、最初の補強会議にレヴィが同席する。その後のターゲットを絞り込む選別プロセス、そして2~3人の候補が監督に提示され、監督が優先順位を付けるフォローアップ会議にも彼は出席する。
第一希望が定まると、交渉を進めるのはレヴィだ。たとえば1月には、交渉が行き詰まり、アントニン・キンスキーの代理人が大晦日にプラハのガソリン・スタンドで待機する事態になったが、それを受けてレヴィは元日の早朝に飛び立ち、取引をまとめている。最後の段階でも、レヴィは詳細に目を光らせる。たとえば選手のメディカル(身体検査)で、彼は結果がメールで送られてくるのを把握しており、終了時間を知っているので、トレーニング・グラウンドの隣のクラブ所有ホテル「ザ・ロッジ」で新戦力を握手で迎えるためにその場にいる。
2020年1月に発行されたVarsity誌のインタビューで、レヴィはフットボールクラブの会長職について「いくつもの異なるビジネスを経営しているようなもの」だと語っている。そして彼はスパーズのあらゆる分野に関与している。アカデミーや女子チームから、商業部門やケータリング部門に至るまでだ。レヴィは責任者たちとの月例会議を主催し、そこで以前の目標が達成されたか確認し、新たな目標を提示する。レヴィの下での職場環境は、常に要求が厳しい。
「彼は厳格な仕事主義者で、人にいい気分を味わわせることはあまり考えていない」
ある長年のクラブ職員は語る。
「取引をまとめたとしても、『それは素晴らしい。でも、これもできる?』という感じなんだ」
選手や監督に対しては、レヴィはやや距離を取っている。そして彼は、ドレッシング・ルームに立ち入らないという“個人的なルール”を誇りに思っている。それでも、彼はトレーニング・グラウンドでは目に見える存在であり、今ではスタジアムよりもそちらで多くの時間を過ごしている。また、選手との一対一の面談も自室で行っている。ヨーロッパリーグ決勝の前には、レヴィはアンジ・ポステコグルーについて主力選手と話し合っていた。
2020年に公開されたAmazonのドキュメンタリー『All or Nothing』では、レヴィがリヨンから獲得した5500万ポンドの期待外れの補強、タンギ・エンドンベレと危機的な会談を行う様子も映し出された。
「OK、じゃあ何がうまくいってないのか話そうか」とレヴィは語っている。


