トッテナムは、クリスティアーノ・ロナウドやサディオ・マネと渡り合って話題となった日本の若きディフェンダーの獲得に迫っている。
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「我々はヨーロッパのトロフィーを獲得した。しかし、それでは不十分だ。重要なのは、我々が達成していないことだ。リーグ優勝が必要だ。プレミアリーグを制覇したい。チャンピオンズリーグも制したい。勝利が欲しい」
これは今月、アンジ・ポステコグルーの解任の理由の説明と自身のクラブへの願望を語った際に、トッテナムのダニエル・レヴィ会長が発した言葉であり、それが彼の望もうと望むまいと、今夏スパーズに何が求められているのかの基準となった。
ゆえに、その直後にクラブが発表した新戦力が、日本の川崎フロンターレに所属する20歳のセンターバックへの500万ポンドの契約であり、そしてその選手がプレミアリーグの一般的なファンにはあまり知られていない存在であったために、当然ながらある種のリアクションが巻き起こることになる。そう、ほとんどがダニー・ローズがGoogle検索をするAIによる生成画像が飛び交ったわけだ。
フットボールにおいては、移籍の「印象」こそがすべてであり、もしスパーズがこの夏に必要とされるようなビッグマネーの補強をまず先に済ませていれば、それがチャンピオンズリーグでのエリートクラブとの競争や、レヴィの発言を単なる希望的観測に終わらせないためのものであるなら、その後に発表される高井幸大の移籍は、「賢明なビジネス」として受け入れられていたことだろう。
しかしながら、マティス・テルの3000万ポンドでの獲得したことを除けば、今夏最初の補強としてこれが発表されたのは、どうしても「いつものトッテナム、また安値の補強か」といった反応を呼び起こすことになる。一方で、リヴァプールやマンチェスター・シティのようなビッグクラブたちは多額の資金を投じて大型補強を進めている。
仮にこの高井の移籍が夏の3番手や4番手の補強だったとすれば、物語の語られ方はまったく違ったものになっていただろう。おそらく「ヨハン・ランゲ率いるスカウティング部門が、例によって静かに動きながらも、しっかりとデータで裏打ちされた補強を実行した」という文脈で語られていたはずだ。そしてそれは、もし彼がスパーズの期待どおりの成長を見せるならば、ブライトンやボーンマス、あるいはトーマス・フランクがかつて指揮を執ったブレントフォードが称賛されてきた補強のようなものになっていたことだろう。
高井は、「リーズナブルな価格で獲得できる将来有望な若手」というカテゴリーに分類されるが、Jリーグ史上最高額の移籍金ではあるにせよ、彼はルーカス・ベリヴァル、デスティニー・ウドギ、パペ・マタル・サールといった選手たちが契約を結んだ時よりも、実際には年齢も上で経験も豊富な選手だ。
一部では、昨夏加入し、今季後半戦をQPRへの育成型ローンで過ごした韓国人ティーンエイジャー、ヤン・ミンヒョクのケースと比較する声もある。しかし、これは違う。ヤンはKリーグでの初のフルシーズンを終えた直後にスパーズが動いた選手であり、当初から即戦力ではなく「未完の大器」とみなされていた。