トッテナムとジャック・グリーリッシュの移籍話は、毎年この時期の定番ネタのようになっている。
football.london/Lee Wilmot
これまでにも何度かグリーリッシュがスパーズと結び付けられてきた。特に2018年、当時アストン・ヴィラ所属だった彼は、ノースロンドンへの移籍に迫っていた。
当時22歳だったグリーリッシュをトッテナムは熱望していたが、移籍金の交渉が長引き、移籍実現の機会を逃してしまった。スパーズは彼を獲得する態勢にあったが、契約成立に時間がかかったためヴィラが外部からの資金調達に成功し、その後、チャンスは消えてしまった。
その3年後、グリーリッシュは驚きの1億ポンドでのマンチェスター・シティへの移籍を成し遂げた。シティではあらゆるタイトルを獲得し続けている。
現在、ペップ・グアルディオラ監督はグリーリッシュに他クラブへの移籍を促しており、今夏のクラブ・ワールドカップ(米国開催)からもメンバー外となっている。
その件についてグアルディオラは次のように語った。
「彼はクラブと話をして、出場しないのが最善だと判断した。ジャックは素晴らしい選手だが、今季はあまり多く出場していない。我々は彼に“プレーすべきだ”と判断した」
「だからここには連れて来ないことにしたんだ。彼がどうなるかは分からないが、もし移籍しなければ、マンチェスター・シティの選手として戻ってくるだろう」
ブックメーカーでは、スパーズが今夏ジャック・グリーリッシュ獲得の有力候補とされており、アンジ・ポステコグルーの後任として就任したトーマス・フランクは、彼を獲得してチームに色を加えようとしている。
しかし、グリーリッシュ自身が過去に語っていた発言が、フランクにとって“移籍のジレンマ”を生む可能性がある。
2020年、彼はこう語っている。
「僕は背番号10のポジションが大好きだ。左でも右でもプレーできるけど、やっぱり背番号10が一番だね」
この“背番号10”の役割は、既にトッテナムには選択肢が豊富だ。ジェームズ・マディソンが実際に10を背負い、前指揮官ポステコグルーの下では主にその役割を担っていた。デヤン・クルゼフスキも背番号10で印象的なパフォーマンスを見せている。スパーズは本当に背番号10の3人目としてグリーリッシュを必要とするのだろうか?
だがグリーリッシュは左や右でもプレーできると認めている。しかし、左サイドのファースト・チョイスはキャプテンのソン・フンミンであり、彼の去就には不透明感があるものの、契約残期間が残り1年となり、これまで以上にクラブ退団に前向きだと見られている。
スパーズはすでにマティス・テルを完全移籍で獲得しており、ローン期間の成功後の正式加入によって左・右両翼でプレー可能な選手が増えている。そのほかブレナン・ジョンソン、リシャルリソン、ウィルソン・オドベール、マイキー・ムーア、そしてもちろんクルゼフスキも同ポジションで起用可能である。
テル獲得に成功した今、グリーリッシュを取る資金の使い道としては最良とは言えないかもしれない。しかしフランクは、来季あらゆる大会を戦うために戦力の厚みを求めており、その点でグリーリッシュは確かに魅力ある選手ではある。
