もしバスク地方でトロフィーを掲げられていなければ、苛烈なリーグ戦の結果を受け、ポステコグルーの将来は遥かに早く決まっていただろう。ヨーロッパリーグ制覇という新たな歴史の1ページが記された一方で、クラブ史上最低のプレミアリーグ勝ち点と最多敗戦数という、もう2つの不名誉な記録もまた書き加えられることになった。
22敗、勝ち点38という数字は、トッテナムというクラブの規模を考えれば受け入れがたいものだった。そしてそれゆえ、ポステコグルーの名前は常に見出しを飾り続けた。ヨーロッパリーグの勝利は一時的な延命措置に見えたが、金曜にその斧は振り下ろされた。
レヴィ会長が去就を決断するか否かという不確実性の中にあっても、ポステコグルーには少なくとも来季の開幕を迎える権利があったはずだ。欧州での成果を考えればなおさらだ。たとえ2024/25シーズンのプレミアリーグで苦しんだとしても、それが翌シーズンにも続くとは限らない。
ヨーロッパでの成功を新シーズンへの起爆剤とし、主要タイトル獲得への挑戦を再び目指すこともできたはずだった。金曜の声明の中でスパーズは「アンジが築いた土台の上にこれから構築していく」と語っていたが、それはまさに続投を支持する証でもある。
忘れてはならないのは、ポステコグルーがスパーズ・ファンに、これまでで最も感動的な夜を与えてくれたという事実である。ビルバオでのあの1-0の勝利。試合後の歓喜とその後数日続いた多幸感は、何度でも味わいたいと願うような特別なものだった。
その感情をもう一度届けること、そしてあの夜を「一度きり」にしないこと。それが後任者の使命である。
ポステコグルーのトッテナム時代は、数多くの浮き沈み、そして最終的な頂点となるトロフィー獲得を経た、まさに特異な旅路であった。
最終的に彼に「シーズン3」は訪れなかったが、今回の決断には、永遠に残り続ける大きな「もしも」が付きまとうことになる。



