トッテナム・ホットスパーは、ここ数年で多くの若手選手を獲得して成功を収めてきたが、その一方で輝けなかった選手にも多くの資金を費やしてきた。
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トッテナムの近年における補強方針は一貫しており、「将来的にスターになれるであろう若手を獲得すること」だ。そしてその方針は、大きな成功をもたらしてきた一方で、失敗も招いてきた。
若手中心の補強路線は、過去においてデレ・アリや、その前のアーロン・レノン、カイル・ウォーカー、クリスティアン・エリクセン、さらにはクラブへの貢献という点で言えばベン・デイヴィスなど、見事な成功例を生んできた。より最近では、ミッキー・ファンデフェン、ルーカス・ベリヴァル、デスティニー・ウドギ、パペ・マタール・サール、アーチー・グレイ、そしてジェド・スペンスも最終的にはクラブに長期的な貢献を果たしそうな存在として台頭しており、いずれもすでにトロフィーを手にしている。
18歳のルカ・ヴシュコヴィッチがまもなくノースロンドンに到着する見込みであり、トッテナムはさらに20歳の日本代表センターバック、高井幸大の獲得にも近づいている。クラブが若手でのチーム戦力の構築を目指す姿勢は衰える気配がない。先月16歳になったばかりのストライカー、オリバー・ボーストも今夏にリーズ・ユナイテッドから加入予定だ。
だが、若手に将来性を見込んで投資する“ギャンブル”にはリスクも伴う。すべての選手が期待通りに成長するとは限らず、結果として多額の資金を失うことにもなり得る。今回は、ここ数年でトッテナムが行った若手補強の中で、うまくいかなかったケースを取り上げている。当然ながら、これらすべてがクラブの責任というわけではなく、同様に選手だけの責任でもないことは強調しておきたい。
ここでは、22歳以下で獲得された選手を対象にしており、過去6シーズンほどを遡っている。
ブライアン・ヒル(Bryan Gil)
この若きスペイン人に関して、うまくいかなかったのは残念だが、現実としてヒルは母国スペインを離れて以降、どこでも快適に過ごせていないように見える。トッテナムは2021年、彼をセビージャから2,160万ポンドで獲得し、エリク・ラメラをトレード要員として放出した。
この移籍がいかに酷いものだったかは、その後さらに浮き彫りとなった。というのも、トッテナムはわずか数年でヒルをローンでセビージャに送り返しており、つまりスペインのクラブは2,200万ポンドとラメラを受け取った上で、結局またヒルを手元に戻したということになる。他にもバレンシア、そして直近ではジローナにもローンされており、もはやスペインのクラブからの興味しかなくなっている。