レヴィは愚か者には厳しく、過去にポステコグルー以前の多くの監督たちが、より良い成績であってもその職を解かれてきた。
だが、彼らの誰もヨーロッパのトロフィーをクラブにもたらすことはできなかった。ポステコグルーはそれを実現し、同時にチャンピオンズリーグ出場権、つまりレヴィが渇望してきた財政的恩恵もクラブに運んできた。
どんな方法であれ、彼は結果を出したのだ。
今、レヴィは大きな決断を迫られている。ビルバオでの決勝戦を前に、多くの人が「結果にかかわらずポステコグルーは退任するだろう」と考えていた。
だが当の本人は、試合前の時点で「投げ出すつもりなどない」と明言していた。「いや、辞めようとは思っていない。なぜなら、まだこのクラブでやるべき仕事が終わっていないからだ」と彼は語っている。
「私としては、何かを築き上げているという実感がある。そしてトロフィーというのは、そのプロセスを加速してくれるものだと思う」
「今シーズンは多くの試練があったが、その中にも成長が見られたし、それを見届けたいと思っている。もちろんそれが実現するかどうかは重要じゃない。とにかくこの仕事はまだ終わっていない。このクラブを本来あるべき場所へ連れて行くために、まだ成長の余地があるんだ」
つまり、もし彼が退任することになれば、それは自発的な辞任ではなく、「解任される」しかないということになる。そしてそれは、スパーズとレヴィが長年求めてきたものを成し遂げた指揮官に対して、非常に大きな決断となるだろう。
私は長らく「今シーズン終了とともにポステコグルーは去るべき」と考えていた。だが、トロフィーは物事を変える。そこには感情が絡むし、彼がもたらしたこの上なく幸せな夜を思えば、その感情を無視することはできない。
私がポステコグルーに対して抱いていた最大の不満は、彼の「頑固さ」だった。彼のやり方こそが唯一絶対の正解であり、そこに修正はないという姿勢に疑問を感じていた。
しかし、ヨーロッパリーグの終盤戦、特にアイントラハト・フランクフルト戦やボデ/グリムト戦、そして決勝戦において、ポステコグルーは違った一面を見せた。


