その言葉に応えるように、ファンは日曜のブライトン戦開始3分で早くも彼のチャントを歌い始めた。試合中、そして試合後のセレモニーでも、彼の名は繰り返し歌われ続けた。選手たちとともにヨーロッパリーグのトロフィーを手にピッチを一周する際にも、スタンドからは感謝と誇りの大合唱が鳴り響いた。
レヴィも、この状況を十分に理解している。もし彼がポステコグルーの退任を決断すれば、サポーターからの大きな反発が起こるであろうことは明白である。
さらに、ポステコグルーはドレッシングルーム内でも強い信頼を得ており、多くの選手たちは彼によって初のタイトルを経験しただけでなく、ひとつの「家族」のような絆を築いた。
それでも、プレミアリーグでの不振、冬場の深刻な負傷者続出、国内戦線での勝ち星の少なさといった現実を踏まえ、チャンピオンズリーグを戦う来シーズンに向けて、ポステコグルーが適任であるかどうかをクラブは慎重に見極める構えである。
一方のポステコグルー自身は、自らの将来が議論の的になること自体に違和感を抱いている。
「自分の中では、誰にも予想されなかったようなことをやり遂げたと感じている。だからこそ、今こうして進退について話していることが不思議でならない。そういう気持ちだ。ただ、現実は現実だ」
「今はただ、休暇に出て家族と過ごしたい。そして、この特別な体験をゆっくりと振り返りたい。金曜のパレードの光景や、あの日々を通じて人々が私に寄せてくれた言葉…本当に美しいものだった。ただ、それを楽しみたい。正直に言って、それ以外の話題について語りたいとは思わない。それは今、必要ないと思うんだ」
「その質問をするのは当然だと思う。でも、私はその答えを持っていない。君たちがそう訊くのは、どこかに“疑い”があるからだろう。でも私には何も言えない。答えは私以外の誰かが出すものだ。私の立場からすれば、それがこの成果を損なうことにはならない。私はこのクラブで、まだまだ築いていけるという自信を持っている。次のステージに進みたいと思っている。それが実現するかどうかは、これから分かることだ」
現時点では、ポステコグルーとスパーズの未来がどうなるかは、しばらく先まで明らかにならない見通しである。
