スパーズはヨーロッパリーグで優勝を果たし、来シーズンのチャンピオンズリーグに出場することが決まった。
football.london/Dave Powell
トッテナム・ホットスパーは先週、ヨーロッパリーグ決勝でマンチェスター・ユナイテッドを1-0で下し、来シーズンのチャンピオンズリーグ出場権を獲得。悲惨なリーグ戦での17位フィニッシュを経て、欧州最高峰の舞台への切符を手にした。
この勝利により、来季は最大で1億2000万ポンドに達する可能性のあるチャンピオンズリーグの報奨金を狙える立場となり、ホーム開催の最低4試合によるチケット収入を含む約6000万ポンドの収益が保証された。
移籍マーケットでの“動き方”が一変
欧州制覇によって得た資金は、クラブのキャッシュフロー改善に直結する。というのも、トッテナムは現在3億3700万ポンドの移籍債務を抱えており、将来的に選手売却によって得られる移籍収入はわずか5800万ポンドしか見込めない。
このままでは移籍マーケットで「選手売却→補強」の循環が避けられず、仮にプレミアのPSR(利益・持続可能性ルール)に抵触しないとしても、資金繰りの面で制限が生まれていた。
ただし、3400万ポンドの“逆風”も
とはいえ、チャンピオンズリーグ出場による増収がそのまま“移籍資金にフル投入できる”状況とはいかない。というのも、2024/25シーズンのリーグ戦の成績が前年の5位から大きく下落したことで、プレミアリーグからの配分金が約3400万ポンド減少してしまったからだ。
年度 | リーグ順位 | 分配金(目安) |
---|---|---|
2024/25シーズン | 17位 | 約1億3,100万ポンド |
2023/24シーズン | 5位 | 約1億6,460万ポンド |
差 | -12位 | ▲3,400万ポンド |
この分配金の具体的な内訳は、以下の通りである。
- 施設使用料(Facility Fees):2億1,100万ポンド(前年比▲3,000万ポンド)
- 順位賞金(Merit Payment):1億1,400万ポンド(前年比▲3,370万ポンド)
- 国際市場の均等配分(Equal Share):前年比+200万ポンド
“経営的現実”と今後の展望
これらを総合すると、チャンピオンズリーグ出場による増収分は既にリーグ成績による“減収分”によって一部が相殺される形となり、補強費用の全てチャンピオンズリーグ・マネーに依存するのはリスクがある。
ダニエル・レヴィ会長としては、アンジ・ポステコグルーの去就を含めて大きな判断を迫られているが、来シーズンの成功に向けてはより強力なスカッド編成と巧みな選手トレードが求められる。
選手売却で資金を創出しながら、質の高い補強を進める“市場戦略”が、まさに今問われている。
