スパーズが是が非でも同じことを繰り返さないように努めるのは間違いないだろうが、このプロセスが長引けば長引くほど、クラブの思い通りにはいかなくなるという予感はすでにある。スパーズが賞賛していたトーマス・トゥヘルはバイエルンに新天地を求め、スパーズはポチェッティーノを無視し、今やナーゲルスマンも候補から外されている。
スパーズは、このようなクオリティの高い次期監督候補を逃し続ける余裕があるのだろうか。2年前と今回の違いは、まだ多くのエキサイティングな候補者が存在していることだ。ブライトンのロベルト・デゼルビは、2014年のポチェッティーノに最も近い存在であろう。優れた戦術家であり、スパーズの文化を変えることができる個性を持っている。
フェイエノールトをオランダのタイトルに導いたばかりのアルネ・スロット、バイエル・レバークーゼンのシャビ・アロンソ、セルティックのアンジ・ポステコグルー、スポルティング・リスボンのルベン・アモリムは、ナーゲルスマンやポチェッティーノのような経験を誇る指揮官ではないが、理論上はすべて魅力的な候補だ。
ルイス・エンリケはより実績があり、フリーエージェントではあるが、若くて新進気鋭のプロジェクト・コーチというクラブの希望するプロフィールにはそれほどフィットしない。ヴィラ・パークでの敗戦の後、正式監督の座を狙うことを明言したライアン・メイソンは、指揮を執った今回の4試合で1勝だけしか記録できていないものの、それらは非常に困難な環境のなかでの連戦であり、ますます有力な次期監督の選択肢のように感じられる。
3月にアントニオ・コンテを解任したスパーズは、チェルシーだけでなく、夏に新監督の招聘を計画している他の欧州のトップクラブよりも有利な立場にあった。シーズンも残り2週間となり、レヴィ会長が何を望んでいるのか分からないという周囲の声が高まるなかで、スパーズは監督解任が早かったことの選考優位を無駄にする危険性がある。
