
もしコンテを雇う決断をしたのなら、その四角い釘を丸い穴に押し込もうとはしてはいけない。代わりにこの監督にフィットするようにその穴を四角くするか、または監督に合う戦力を補強する必要があるのだ。
このイタリア人は、現在、順位表で下にいるビッグクラブたちがその資金力を使って巻き返しを図ってくることを見据え、警戒している。まだ移籍マーケットは始まっていないが、チェルシーはリバプール同様にすでに動き出しており、マンチェスター・ユナイテッドはクリスティアーノ・ロナウドの代わりとなるアタッカーを求め、まもなくそれを実現させようとしている。
トッテナムは現有戦力では戦い抜けないことを彼は知っている。記者会見で発している言葉とは裏腹に、コンテはチーム戦力を強化するための新戦力を切望しており、ワールドカップの中断を前にそれを躊躇せず口に出してきた。このボクシング・デー・試合を控えた金曜日、彼はクラブのやり方について改めて発言した。
「クラブに何をしてほしいか?それを語るのは間違っていると思う。どのクラブにもヘッドコーチがいて、スポーティング・ディレクターがいて、オーナーがいて、その場で状況について話そうとするものだと思う。私は自分のクラブに、チーム戦力を改善するための方法、チーム戦力の質を向上させるためのアドバイスをすることができるからね。特に、シーズンが始まってから5ヶ月後になれば、シーズン当初とは状況が変わっているんだよ」
「もし、チーム戦力を強化する機会があれば、動くことになると思うよ。我々のポリシーは皆さんもよくご存じだと思うが、このポリシーに従ってチーム戦力を向上させるために、もしチーム戦力を強化する可能性があるのであれば、それを実行する。そうでなければ、我々はこの選手たちと一緒にやっていくことになるし、私は彼らに満足しているよ」
また、クラブの方針について質問されると次のように答えた。
「選手の補強や若手選手の補強についてはご存知だろう。若くて年俸が高くない選手の獲得だよ。我々は、我々のビジョンにもクラブのビジョンに沿えるような選手を獲得しなければならないんだ」
「我々のビジョン」は「我々の」の解釈を極端に広げたものだ。若い選手と安い給与で契約するのは「コンテのビジョン」ではない。「我々のビジョン」の中で真逆の端っこに「コンテのビジョン」は存在し、ではコンテとスパーズが次にどのような動きに出るのかを予想するのは、鬼が出るか蛇が出るかである。
コンテとクラブのビジョンの食い違いは、机上ではまったくうまくいかないものだが、おそらく現状、イタリア人が戦力の選択肢を欠いていることで両者の関係が上手くいっているとも言えるだろう。今すぐ達成できることに限界があるように思える現状でも、コンテはこのクラブでの自分の仕事を楽しんでいるのだ。
これからの1ヶ月、トッテナムが財政的な改革を約束したスタジアムのおかげでこれまでの倹約姿勢から豹変したり、コンテが「最高のオモチャ」しか使えない監督ではないことを証明したりと、何かしらの状況の変化が見られるはずだ。
