後半に入り、スタジアムの雰囲気は一変した。ロリスはこの試合を心理戦だったと解説し、前半はマルセイユが負けることを恐れていなかったが、後半になると、トッテナムの選手たちは勝ち点3を奪われる恐怖が高まっているのを感じたという。
試合の最後の瞬間は、マルセイユの選手たちが引き分けでもヨーロッパリーグに出場できることを知らず、勝利のために前進を続けていた。その結果、ホイヴィアが決勝ゴールを決めるための道筋が空いてしまったのだ。
ホイヴィアとベンタンクールは、今シーズンのトッテナムの成功の鍵を握る存在となった。
スパーズの前半は不調だったが、後半の活躍は優れたフィットネスの賜物であり、それは先月急逝した名フィットネスコーチ、故ジャン・ピエロ・ヴェントローネの遺産といえる。
ホイヴィアとベンタンクールはコンテのチームのエンジンとしての役割を担っており、ヴェントローネの仕事を最もよく表している選手である。
27歳のデンマーク人が終盤に見せた肺活量に満ちたゴール・シーンは、プレシーズンに韓国の高温多湿の地で選手たちの限界を超えて行われたヴェントローネのピッチを縦いっぱいに使ったスプリントのトレーニングが実践されたものであった。
ホイヴィアの攻撃スタッツは、今シーズンに4ゴール、4アシストと、18試合で8ゴールに絡むなど、これまでのキャリアでそれほど攻撃的な役割を期待されていなかった選手にとって、誰の目にも優れているのは明らかなものだ。
このミッドフィルダーは試合前、コンテのシステムをより深く理解し、その中で自分自身のプレーに自信を持つことで、攻撃力がさらに向上したと語っている。
95分に決めたシュートは、ケインに勝るとも劣らない自信に満ちたものであったし、数日前にボーンマス戦で見せたライアン・セセニョンへのパスもそうだった。
そのホイヴィアと並んで、ベンタンクールもスパーズで新たなレベルに到達している。セリエAで3度の優勝経験を持つこのウルグアイ人は、水を得た鴨のようにクラブでの生活に馴染んでいるが、イングランドのフットボールが要求するものを完全に理解し、スパーズのアクションの動全てにさらに不可欠な存在となった。
後半には、最近の試合で常に見せているように、ベンタンクールがマルセイユ陣内の深くまで攻め込み、プレスをリードする場面もあった。
ボールに対する落ち着きはムサ・デンベレのようであり、チームメイトは彼を心から信頼している。時折、ボールを手放すこともあるが、それは彼の役割のリスクの高さゆえだ。
