コンテは観客席で周囲にいた人々に抱きつき、宙を殴り、熱い抱擁の際に危うくステインソンの頭を引きちぎりそうになった。チームと密接な関係にあり、フットボールの知識も豊富なこのような人物が、自分の後ろで暴れ叫ぶという経験はダニエル・レヴィ会長にとってかなり新鮮なものであっただろう。
スパーズのディレクターの一人、レベッカ・カプルホーンはコンテの眼の前に座り、祝福の中で空を見上げて大きな安堵のため息をついているのが見て取れた。
それこそが、ここ数日間のうちに2度目の目覚ましい逆転劇を、しかもこの夜の大舞台で成し遂げたことへの安堵と誇りを象徴していた。
コンテがファンと同じ立場で観客席からそのすべてを体験したことは、決して悪いことではなかっただろうし、レヴィが彼の近くに座っていた経験も、これから数ヶ月間につながってくるだろう。