コンテはリシャルリソンがスパーズの門をくぐった瞬間から、その運動量とクオリティを絶賛しており、選手もそれに応えて開幕から8試合で2ゴール、2アシストと、クラブ内でもファンからも人気を集めている。
コンテにとって、リシャルリソンの獲得はトッテナムの大型補強を推し進める姿勢への変化を意味する。過去にスパーズは、まだ全盛期を迎えていない若い選手や、これから価値が落ちない、あるいは価値を高める可能性の高い補強ターゲットを中心に大金を投じてきたのである。
クラブの最も高価な補強は、22歳で加入したタンギ・エンドンベレだ。さらに21歳のダビンソン・サンチェス、23歳での加入だったジオバニ・ロチェルソとクリスチャン・ロメロ。これら4人の選手はいずれもおよそ4000万ポンドを超える資金を要している。それに匹敵する移籍金を投じた唯一の例外が、当時のクラブの移籍金記録である3000万ポンドをやってきた27歳のムサ・シソコで、2016年にさかのぼることになる。
リシャルリソンは、コンテ以前の移籍戦略を考慮するとトッテナムにとって別格の存在である。25歳にしてすでに完成した選手なのだ。彼はまだ成長し続けることができるが、その全盛期はまもなく訪れるだろう。8月にホットスパー・ウェイにやってきた時点で、すでにプレミアリーグ173試合をプレーし、48ゴール、20アシストを記録していた。
このブラジル人はプレミアリーグを知り尽くしており、この夏により大きなチームへのステップアップすることは既定路線となっており、あとは新天地がどこになるかの問題だった。昨シーズン、リシャルリソンはエバートンのファンに対し、低迷するチームが降格を免れることを宣言し、その言葉通り、シーズン最後の10試合で6ゴール、2アシストを記録して残留に貢献した。
そして、今月行われたチャンピオンズリーグでのデビュー戦では、マルセイユ戦の後半に2ゴールを挙げ、勝ち点3を獲得し、クラブ最大の大会で戦えることを証明した。
リシャルリソンがトッテナムに加入し、その多才さを証明したことで、アタッカー陣の誰もが先発の座を保証されなくなった。デヤン・クルゼフスキはプレミアリーグにやってきて以来、大きなインパクトを残してきたが、今月は3試合連続でベンチ・スタートとなった。先週末のレスター戦では、ソン・フンミンまでがコンテのローテーションによってベンチスタートとなったものの、途中出場から見事なハットトリックで奮起している。
また、昨シーズンのリシャルリソンは負傷したドミニク・キャルバート・ルーウィンの代役として、中央のストライカーとしてプレーできることを示しており、これから6週間で13試合を消化しなければならない過密日程の中で、ハリー・ケインをベンチに温存することもできるだろう。
「リッチーと契約したのは、前線の3つのポジションすべてでプレーできる選手と契約したかったからだ」
「だから彼との契約には何の迷いもなかった。特にその理由は、我々の考えやビジョンが非常に明確であったため、すぐに実行に移したんだよ。リッチーはデキよりもストライカーだが、同時にソンのポジション、ハリー・ケインのポジション、デキのポジションでプレーすることができる。我々にとって、これはとても重要なことだ。なぜなら、選手を入れ替えても、攻撃のクオリティを落とさずに済むからね」