もっとも標的にされたロナウドとマグワイア
報告書では、それら「嫌がらせツイート」の発生には2つのピークがあることが確認されている。
1つ目は、2021年8月27日にロナウドがマンチェスター・ユナイテッドに再加入した日で、他の日の3倍のツイート(188,769件)が発生し、そのうち3,961件は「嫌がらせツイート」だった。全体のツイートのうち「嫌がらせツイート」は2.3%で、この比率は1日平均よりわずかに低い。
この投稿量は、ロナウドの9840万人のフォロワーがいることでおおよそ説明ができる。この日、プレミアリーグのフットボーラーに向けられたツイートの90%、「嫌がらせツイート」の97%でこのポルトガル代表に向けられたものだった。
2つ目のピークは11月7日、マンチェスター・ユナイテッドがホームでマンチェスター・シティに2-0で敗れた後に、ディフェンダーのマグワイアが謝罪のツイートをした時だ。
このとき、2,903件の「嫌がらせツイート」が送信され、この日の全体の10.6%を占めた。マグワイアの投稿に対して、多くのユーザーが侮辱的または卑下的な言葉でレスを送っていた。
また、全く同じフレーズを使ったコピペ・ツイートが、2時間以内に69回、異なるユーザー(アカウント)からマグワイアに送られたことも判明している。
この調査結果では、「他のユーザーが嫌がらせツイートを見て、それをコピペして自分もレスをしよう決めたためにこのような嫌がらせツイートが大量発生した可能性がある。それは協調行動(coordinated behaviour)というよりも、有機的な組織行動(organic organisation:規則が無い集団の中で個々人が自由に判断して行動する)である」ことを示している。
アラン・チューリング研究所は、協調的な攻撃やその連鎖による被害を考える上で、オンラインでの組織行動を理解することは、ますます興味深くなっていると述べている。
他の選手たちは、全体としては比較的少ない数のツイートを発信しているにもかかわらず、「きっかけとなるツイート」によって大量の「嫌がらせツイート」の標的となった。
現在、シェフィールド・ユナイテッドにローン中のニューカッスルのキアラン・クラークは、11月のノリッジ戦で退場処分を受けたが、期間中に彼が受けた「嫌がらせツイート」の78%がこの日に寄せられたものだった。