その2日前の夜、ケインは同じスタジアムでの公開練習でピッチを走り回りながら地面に倒れ、ピッチ脇で嘔吐し、フィジオが駆けつけて冷たいタオルを首の後ろに当て、様態を見守る光景が見られた。
しかし、これはコンテの新シーズンに向けたプロセスの一部であり、ケインはわずか48時間後のソウル・ワールドカップ・スタジアムで、ピッチに入った直後から鋭い動きを見せていた。
ソンもまた休暇を終え、週末にトレーニングに戻ったばかりで、ランニングに苦しみ、ピッチ脇で悶えていた。しかし、この韓国のスターは、序盤からボールを巧みに操っているようにも見えた。
天野純がエリア内でハンドの反則をとられたとき、ケインは韓国のファンの前でPKを蹴るようにソンに指示し、彼はゴールキーパーの動きを見切ってボールをボールに沈め、代名詞である「写真撮影ポーズ」でセレブレーションで観客を喜ばせた。
その後、天野は25ヤードのフリーキックを放ち、2人の壁を破ってユーゴ・ロリスを捕らえたが、ソンが再び決定機を迎えた。リシャルリソンのスルーパスで走り出したソンは、エリア手前でキム・ドンミンに倒された。このディフェンダーは、6万4100人のファンの前で国民的英雄にファウルをし、さらに親善試合で退場になるという2つの悪運を背負ってしまった。
長らくケインがフリーキックからのゴールを成功しないことはよく知られているが、このセットプレーを低い弾道のシュートでゴール底に突き刺した。スパーズがジャンニ・ヴィオをコーチとして招聘して、最初のフリーキックでゴールしたのは偶然ではない。
セットプレーのスペシャリストであるヴィオは、特定の選手に合わせた4830種類のルーチンを作成し、すでに韓国で選手たちの指導にあたっている。コーナーやフリーキックでは、彼の意見を垣間見ることができ、スパーズの動きや名前が叫ばれ、キッカーの前でさまざまなフォーメーションや壁に編成された。
試合は、終盤に相手の自陣でのルーズパスに反応したソンがゴールキーパーをかわし、ゴールネットにボールを流し込んで締めくくられた。トレードマークのニースライドとあのセレブレーションで観客を熱狂させた。
親善試合に過ぎないものの、ソンはファンが求める期待にしっかりと応え、彼を慕う多くの人々に常に敬意を払っていることを示したのだ。
この先も厳しい試練が待ち受けているだろうが、ソンとケインの2人が幸せで、シャープで、来るべき重要な新シーズンに向けてすでに着実な準備を始めていることは、コンテにとって朗報であり、プレミアリーグのディフェンダーにとって不吉なことであろう。
