もちろん、いくつかの移籍は他のクラブでの出来事にも影響され、遅れてチャンスが訪れる場合もあるかもしれないが、この夏のスパーズの移籍方針は変化する可能性が高い。
補強のための資金を増やし、早い時期に選手の獲得を実現するために動くだけでなく、コンテのために少なくとも2～3人の経験豊富な年長の即戦力となる選手を獲得しなければならない。インテル・ミラノのイヴァン・ペリシッチはその好例で、コンテはこの33歳のウィンガーが古巣インテルとの契約更新に合意しない場合は獲得を熱望している。
これまでクラブは、若手選手を積極的に補強し、移籍マーケットでの価値を落とさず、または高めるという移籍方針をとってきたが、これも変わってくるだろう。
パラティチは、スパーズでコンテの希望を満たすためには最適な男だ。パラティチは、コンテがどのようにチームを運営し、何を要求するかを熟知しているし、自身の電話帳と世界中のエージェントやクラブとのコネクションは、お得意のフリーでの補強を実現しつつ、それで浮かせた資金を投じて大型補強を成立させることにも役立ちだろう。トッテナムはこれまでフリーの選手の補強にはあまり参戦してこなかったクラブだ。
大型の契約も必要だろう。コンテは、プレミアリーグの頂点に挑戦しようとするクラブにとって、「重要な選手」との契約が必要であることを明言している。コンテもパラティチもインテル・ミラノの23歳、アレッサンドロ・バストーニを欲しがっており、イタリアのクラブは5100万ポンド以下の獲得オファーは受け入れないと考えられている。スパーズは、コンテへの後ろ盾を示すために、ディフェンダーへのその記録的な移籍金を実現させるのだろうか。
様々な憶測が飛び交う夏となりそうだ。パラティチは、補強を狙うポジションごとに最大10人の候補選手の代理人と並行して条件面での交渉を進め、クラブとの契約がまとまればいつでも引き金を引けるようにしているため、メディア上でさまざまなスター選手の名前がトッテナムに結びつけて報じられることは確実だろう。
それに加えて、他クラブやメディアはスパーズがこの潤沢な資金を持っていることを知っているので、さまざまな憶測が飛び交うことになる。パラティチは、それら有象無象の報道を活用して、本命となる補強ターゲットが所属するクラブに『他にも代替となる選手がいる』という緊張感を与えなければならない。
最終的な目標は、トッテナム・ファンが心から誇りに思えるチーム戦力を作り出すことだ。マウリシオ・ポチェッティーノのチーム戦力はレスターやコンテが率いたチェルシーとプレミアリーグのタイトルを争ったが、このイタリア人に率いられたトッテナムは、次のステップに進み、クラブが長年にわたって切望してきたタイトルをもたらすことができる人物だと信じているのだ。
まずはこの夏をしっかりと乗り切らなければならないが、そうすることによってコンテが指揮を執り続けることになる。ファンの期待と興奮はかつてないほど高まっている。
