アーセナル戦後、SNS上で拡散されたミッキー・ファンデフェンとイゴール・トゥドールの「不仲説」の火種となった動画について、投稿者であるYouTuberのクリス・コウリンが自身の見解を表明した。トゥドール自身が記者会見で事実関係を認めたことを受け、コウリンは「事実ではない物語」を構築したメディアや一部の批判に対し、自身の潔白を主張している。
POINT
レポート
クリス・コウリンによる「事実」の提示と反論
アーセナル戦の直後、クリス・コウリンが投稿した動画には、トゥドールがファンデフェンを含む守備陣に対し「ラインを上げろ(push up!)」と激しく指示を飛ばす様子が収められていた。これが「ファンデフェンが新監督の指示を無視した」という文脈で拡散されたことに対し、コウリンは「自身の投稿は事実を伝えただけであり、扇情的な見出しを付けたのは他メディアだ」と強く反論した。
コウリンは、木曜日の会見でトゥドールが「指示はチーム全体へのものであり、ハイラインを保ちたいという意図だった。しかし今の選手たちには負荷が高すぎたのかもしれない」と語ったことを引用。自身の投稿した内容が、指揮官本人の言葉によって事実として裏付けられたと主張している。彼によれば、多くのメディアが許可なく映像を使用し、スパーズ、トゥドール、そしてファンデフェンを攻撃するための「デタラメな物語」を付け加えたという。
ジャーナリストとの真っ向対立
しかし、この釈明は新たな火種を生んでいる。ジャーナリストのマーカス・バックランドは、コウリンのことを「知らない」とした上で、現場の記者であるジョージ・セッションズの正確さを擁護。コウリンに対し「意図的であれ何であれ、あの動画は誤解を招くものであり、団結が必要な時期に不要なダメージを与えた」と厳しく批判した。
これに対しコウリンは、バックランドの過去の投稿を引き合いに出し、「君こそクラブの悪口を言い続けているだけだ。なぜ僕に突っかかってくるのか理解できない」と応酬。残留争いという極限状態にあるノースロンドンのクラブを取り巻く環境は、インフルエンサーと伝統的なメディア、そしてサポーターを巻き込んだ泥沼の議論へと発展している。
ファンの反応
- クリス・コウリン(投稿者)
「日曜日に投稿した動画について明確にしておきたい。僕が使った言葉は事実に基づいたものであり、今日の会見でトゥドールもそれを認めた。数千の人々やメディアが許可なく僕のコンテンツを使い、独自の物語や見出しを付け加えた。僕はただ事実を伝え、トゥドールの指示に興味を惹かれただけだ。デタラメに騙されないでほしい」 - マーカス・バックランド
「ジョージ・セッションズは情熱的なスパーズファンであり、正確な記者だ。クリスに意図があったかどうかは別として、あの動画は誤解を招くものであり、団結が必要な時期に不必要なダメージを与えた」 - クリス・コウリン(上記への返信)
「ここには誤解を招くような点は何もない。一つもない。『不必要なダメージを与えた』だって? 自分の今シーズンの投稿を読み返してみたらどうだ。君がやっているのはクラブの悪口を言い続けることだけだ」 - K-S
「でも君はこう言った。トゥドールはミッキーと話していたとは言っていない。君がそう言ったんだ……なぜ嘘をつく?」 - ジェレミー
「そもそも、あのクリップを投稿すること自体が怒りを誘うための『レイジベイト(怒りや不快感の意図的な誘発)』だ。僕らが泥沼にいる今、こういうものを投稿すれば人々がどう解釈するか分かっていたはずだ。今さら被害者ぶるな」 - Mist Hearse Sea
「僕の見解では、君の誠実さは損なわれていない。僕はあの動画を見てファンデフェンだけが指示を聞き逃したとは思わなかった。他メディアが君の投稿を使って伝言ゲームのように歪めたのは、君の責任ではない」 - トム・フラック
「恥知らずな詐欺行為だ。関連する事実を隠すのは真実を隠すのと同じだ。不誠実だ。大文字を使って強調するのは、合理的な議論ができない時に叫んでいるように見えるだけだ。いいエンゲージメント(再生数)稼ぎになったな」 - ダン
「君は一体スパーズファンにどんな印象を与えたかったんだ? 他チームの解説者が『スパーズは崩壊する』と言っているのをオウム返しにするのはやめろ。クリック数を追うのをやめて、クラブのために何か良いことをしてくれ」 - マーカス・バックランド(追加の反応)
「意図したかどうかに関わらず、あの動画はミスリーディング(誤解を招く)であり、クラブ全体の結束が求められる時期に不要なダメージを与えたことは事実だ」
Quiz Cockerel
今回、SNSで拡散された「ファンデフェンとトゥドールの確執説」において、動画投稿者のクリス・コウリンが自身の潔白の証明として引用した人物は誰か?
1.マウリシオ・ポチェッティーノ
2.イゴール・トゥドール
3.ダニエル・レヴィ
4.ギャレス・ベイル
正解:2
クリス・コウリンは、イゴール・トゥドール本人が記者会見で「指示はチーム全体へのものであった」と認めたことを最大の根拠として提示した。指揮官の言葉によって、動画の内容が「監督による特定の選手への叱責」ではなく「戦術的な徹底を求める指示」であったことが証明されたと主張している。
スパーズジャパンの考察
1. 情報の「切り取り」がもたらす弊害
ファンデフェンのようなチーム再建の鍵となる主力選手が「監督と対立している」という噂が流れるだけで、チームの結束や市場価値に悪影響を及ぼす。今回の件は、戦術浸透の過程で生じる「フラストレーション」という現場の事実が、SNSというフィルターを通じて「反乱」という物語に増幅された典型例だ。クラブはこうした外部の雑音から選手を守るための能動的なリスク管理が求められている。
2. 団結を阻む「インフルエンサー・ジャーナリズム」の是非
クリス・コウリンのようなYouTuberと、伝統的なメディアやジャーナリストの対立は、現在のスパーズを取り巻く「不信感の連鎖」を象徴している。ファンが求めているのは勝利であって、内紛の映像ではない。団結が必要な時期に、解釈の分かれる映像を公開し、それによって生じた混乱を「メディアの責任」とする姿勢は、現地サポーターの間でも賛否が分かれている。
3. 歪められた物語の修正力とリテラシー
幸いなことに、トゥドールが会見で早期に事実を認めたことで、最悪の「確執説」は沈静化に向かっている。しかし、一度付いた「指示無視」というラベルを剥がすには、ピッチ上でのパフォーマンスで示すしかない。不必要な雑音を振り払い、チーム全体がトゥドールの目指す「ハイライン」をファンデフェンを中心とした守備ラインが体現できるようになった時、この騒動はようやく終焉を迎えるだろう。
