トッテナム・ホットスパーはサウスコーストでのボーンマス戦に2-3で敗北した。この結果は、単なる一試合の敗戦に留まらず、クラブの構造的な欠陥と、1月の移籍市場を巡るいつもの停滞感を浮き彫りにしている。
1. 構造的欠陥:沈黙するフロントと孤立する指揮官
現在のトッテナムにおいて、組織的な最大の問題は、ヘッドコーチであるトーマス・フランクが「クラブの唯一の顔」として全ての釈明を背負わされていることだ。
かつてクラブの経営陣の主役であったダニエル・レヴィは現在その役職を退いており、現CEOのヴィナイ・ベンカテシャムは「最高のコミュニケーター」と評されながらも、チームが苦境に立たされている現在、公の場で発言することはない。また、スポーツ・ディレクターであるヨハン・ランゲや、去就が取り沙汰されているファビオ・パラティチも沈黙を守ったままだ。
その結果、スカッドの薄さや負傷者の続出といった、現場の責任を超えた問題についてもフランク一人が説明を強いられる歪な体制が続いている。17年ぶりのトロフィー獲得から半年、クラブを正しい方向に導くための「組織としての声」が欠落している。
2. 補強の失敗と負傷の連鎖:繰り返される「冬の悲劇」
負傷者の続出は、もはや不運という言葉では片付けられない。ブレナン・ジョンソンのクリスタルパレス売却により手薄になった前線で、期待のモハメド・クドゥスまでもが長期離脱を余儀なくされた。さらにボーンマス戦では、ルーカス・ベリヴァルとロドリゴ・ベンタンクールが新たに負傷者リストに名を連ねた。
1月の移籍市場において、フランクは「スカッドを向上させられる選手が必要だ」と公言しているが、クラブの動きは鈍い。1月は難しい市場であるという使い古された言い訳が、準備不足と計画性の欠如を覆い隠すための盾として再び持ち出されようとしている。
3. 「Dr. Tottenham」の再来:ボーンマスの未勝利記録をストップ
「Dr. Tottenham」という不名誉な呼び名が、再び現実のものとなった。対戦相手のボーンマスは、スパーズと対戦するまで直近11試合で一度も勝利がないという泥沼の状態だった。しかし、ノースロンドンのクラブがサウスコーストに到着するやいなや、彼らの不調は「治療」され、劇的な勝利を献上することとなった。
スパーズの直近のプレミアリーグ13試合でわずか2勝という惨憺たる数字は、このクラブがトップレベルで競争するための精神的、戦術的な一貫性を失っていることを証明している。
Dr. Tottenham
ドクター・トッテナム:長らく勝利から遠ざかっている不調な対戦相手が、スパーズとの対戦をきっかけに突如として白星を挙げ、不調を「治療」されてしまう現象を指す皮肉な呼称。

