【得点力】スパーズが“得点源を売り続ける構造的問題”──デゼルビが解決すべき「奇妙なゴールスコアラーの意思決定」とは

【得点力】スパーズが“得点源を売り続ける構造的問題”──デゼルビが解決すべき「奇妙なゴールスコアラーの意思決定」とは

✓ 開幕3試合無得点の深刻事態
✓ スパーズは“得点源を売り続ける”構造的問題を抱える
✓ 育成型ストライカーも早期放出で戦力化できず

レポート

Football.Londonのアラスデア・ゴールドは、トッテナムが開幕3試合で無得点に終わっている背景に「奇妙なゴールスコアラーの意思決定」があると指摘した。スパーズは長年、得点源を自ら手放す構造的問題を抱えており、今季の得点力不足はその積み重ねの結果だと分析している。

スパーズはハリー・ケインという“クラブ史上最高の得点源”を失い、ソン・フンミンもアメリカへ移籍。昨季のトップスコアラーだったリシャルリソンも退団を希望しており、ブラジル市場が閉まる前に移籍が成立すれば、スパーズは「トップスコアラーを1年以内に売る」という伝統を再び繰り返すことになる。

記事は「スパーズは得点源を売り続けてきた」と強調し、ブレナン・ジョンソン、ソン、ケイン、さらにはエマニュエル・アデバヨールやギャレス・ベイルまで遡って同じ主力放出が続いていると指摘する。ベイルはクラブ史上最高のポイントを叩き出した直後にレアル・マドリードへ移籍した。

さらに、スパーズは“次のケイン”を育成できていない。ウィル・ランクシャーはU21で圧倒的な得点力を示し、欧州の敵地ガラタサライ戦でも得点したが、トップチームではわずか6試合のみ。今夏ミドルズブラへ完全移籍すると、開幕7試合で7ゴールと爆発し、プレミアリーグ昇格候補として評価が急上昇している。

トロイ・パロットも同様だ。スパーズでは4試合のみの出場にとどまり、複数のローンを経てAZで覚醒。97試合51ゴール17アシストという圧倒的な数字を残し、今夏レアル・ベティスへ移籍。加入直後にレアル・マドリード戦で決勝点を挙げ、CLデビュー戦でもリール相手に決勝点を記録した。

デイン・スカーレットもトップチームで27試合に出場したが、育成の継続性がなく、ローンを繰り返した末に今夏レイトン・オリエントへ完全移籍。モウリーニョやコンテが高く評価していた才能は、クラブ内で戦力化される前に失われた。

記事は「スパーズは得点源を売り、育成型ストライカーも早期に手放すため、得点力が枯渇する」と指摘し、今季の得点力不足は偶然ではなく構造的問題だと結論づけている。

今季の得点責任はドミニク・ソランケとオマル・マーモウシュに託される。ソランケは2023/24シーズンにボーンマスで21ゴールを記録し、スパーズ加入初年度も16ゴール8アシストと高い貢献度を示したが、昨季は怪我で不調に陥り6ゴールに終わった。記事は「ソランケは好調と不調を繰り返すタイプで、今季は好調期に入る可能性がある」と分析する。

マーモウシュは自然な9番ではないが、24/25シーズンに45ゴール関与(28ゴール17アシスト)という驚異的な数字を残しており、得点力は十分にある。ただし昨季はハーランドの控えとして出場時間が限られ、8ゴールにとどまった。

デゼルビは「ソランケが完全にフィットし、自信を取り戻せば、彼はシステムの中心になれる」と語っており、マーモウシュとの2トップや左からのサポート役としての起用も視野に入れている。

記事は「スパーズは20ゴールを取れるストライカーを必要としており、ソランケとマーモウシュがその役割を担う。デゼルビは彼らにボックス内でのボール供給を増やし、判断の質を高めることで得点力を回復させる必要がある」と締めくくっている。

記事解説

今回の記事の本質は「スパーズは得点源を自ら手放す構造的問題を抱えている」という点にある。ケインやソンのような“複数役割を同時に担う得点源”を失っただけでなく、育成型ストライカーを早期に放出するため、得点力の再生産ができていない。

ランクシャーやパロットの成功例は、スパーズが「育成の最終段階で見切りを早くつけすぎる」ことを示している。彼らはプレミアリーグレベルの得点力を持っていた可能性が高く、クラブ内で戦力化できていれば、現在の得点力不足は起きていなかった。

デゼルビ体制の特徴は「判断力の育成」であり、ソランケやマーモウシュのような“未完成だが高い潜在能力を持つストライカー”を戦術的に磨くことができる。特にソランケはポストプレー、ドリブル、フィニッシュの三要素が揃っており、デゼルビの攻撃モデルに適している。

総じて、今回の記事は「得点源の放出」「育成の断絶」「ストライカーの再構築」という三つの構造的問題を示し、デゼルビがそれをどう解決するかが今季の成績を左右すると結論づけている。