【理由】ポチェッティーノ「2016-17のプレミア優勝はスパーズに与えるべき」──チェルシーの74件違反など“タイトル剥奪”を主張する理由

【理由】ポチェッティーノ「2016-17のプレミア優勝はスパーズに与えるべき」──チェルシーの74件違反など“タイトル剥奪”を主張する理由

✓ ポチェッティーノが2016-17優勝の“再授与”を主張
✓ チェルシーは2009〜22年で74件の財務違反が認定
✓ FA・プレミア・UEFAから総額約2,900万ポンドの罰金

レポート

マウリシオ・ポチェッティーノが「チェルシーの2016-17プレミアリーグ優勝は剥奪され、スパーズに与えるべきだ」と主張した。チェルシーはロマン・アブラモビッチがオーナーだった2009〜22年にかけて74件の財務ルール違反を行い、FA・プレミアリーグ・UEFAから複数の罰金処分を受けている。

FAはチェルシーに1,000万ポンドの罰金と猶予付きの2回分の移籍禁止処分を科し、プレミアリーグは1,075万ポンドの罰金と9ヶ月のアカデミー移籍禁止を科した。UEFAも2012〜19年の不完全な財務情報提出に対し860万ポンドの罰金を科している。これらは代理人規定、仲介者との取引、第三者投資などに関する違反で、BlueCo(新オーナー)が自ら申告したことで発覚した。

ポチェッティーノは「もし違反が事実なら、我々がチャンピオンになるべきだ。彼らは罰せられ、認めた。ならばタイトルは2位のチームに与えるべきだ」と述べ、当時の競争条件が公平ではなかったと主張した。スパーズは2016-17シーズンをアントニオ・コンテ率いるチェルシーに7ポイント差で2位で終えている。

さらに「同じルールで戦っていなかった。もし我々が同じ条件なら、もっと良い選手を獲得できたかもしれない」と述べ、違反によってチェルシーが本来許されない補強を行い、競争条件が歪められた可能性を示唆した。

ポチェッティーノはチェルシーで2023〜24年に監督を務めた経験があるが、「チェルシーが良いプレーをしたとか、コンテが素晴らしくなかったと言っているわけではない。だがルールを破ったなら、タイトルは別のチームに渡すべきだ」と強調し、スポーツの公平性を最優先すべきだと訴えた。

記事は「ポチェッティーノは自身がスパーズでタイトルを取れなかった理由の一つが、競争条件の不公平にあると考えている」と締めくくっている。

記事解説

今回のポチェッティーノの主張は、単なる感情論ではなく、チェルシーが2009〜22年に行った“74件の財務ルール違反”が競争条件を歪めたという構造的問題を指摘している。特に重要なのは、これらの違反が「どの移籍に関係していたか」が公式には非公開である一方、過去の調査報道では複数の大型移籍が“不透明な支払い構造”として疑われていた点だ。

一般報道ベースで調査対象とされた移籍には、ウィリアン(アンジ)、エトー(アンジ)、ラミレス(ベンフィカ)、オスカル(インテルナシオナル)、ネイサン(アトレチコ・パラナエンセ)、ケネディ(フルミネンセ)などが含まれる。これらは第三者投資(TPI)や仲介者支払いの不透明さが指摘された取引で、チェルシーが“本来許されない財務構造”を用いて補強を進めていた可能性があると報じられてきた。

特に象徴的なのがウィリアンとエデン・アザールである。両者はスパーズが獲得に動き、クラブ内で「加入寸前」とまで言われた選手だった。ウィリアンはメディカルまで完了しながらチェルシーに“横取り”され、アザールもスパーズが最初に交渉していたことが複数の報道で示されている。もしチェルシーが違反を伴う財務構造を用いていなければ、これらの選手はスパーズに加入していた可能性が高い。

つまり、ポチェッティーノが述べた「同じルールで戦っていなかった」という主張は、単なる抽象論ではなく、具体的な選手獲得の歴史に裏付けられている。チェルシーが違反によって“本来支払えないはずの金額”や“本来許されない支払い構造”を用いて補強を成立させていたのであれば、スパーズは本来得られたはずの戦力を失い、その結果として2016-17のタイトル争いでも不利な条件を強いられたことになる。

ポチェッティーノは「我々も同じ条件なら、もっと良い選手を獲得できた」と述べたが、これは単なる仮定ではなく、ウィリアンやアザールのような“獲得寸前で失われた選手”の実例に基づく主張である。チェルシーの違反がなければ、スパーズは2010年代前半〜中盤にかけて、より強力な攻撃陣を形成できていた可能性が高い。

総じて、今回の記事は「チェルシーの違反が競争条件を歪めた可能性」「スパーズが本来得られたはずの戦力を失った歴史」「その結果として2016-17のタイトル争いが不公平だった」という三つの論点を示しており、ポチェッティーノの主張はスポーツ倫理の観点から極めて重い意味を持つ。