レポート
ノッティンガム・フォレスト戦で、ロベルト・デゼルビはサヴィオとデスティニー・ウドギを60分で交代させた。両選手は続行可能に見えたが、医療部から「リスク回避のため60分で交代」という事前計画が提示されており、デゼルビはその指示に従った。
デゼルビは試合後、「本音では続けさせたかったが、医療部の計画が優先される」と述べ、短期的には不満がある一方で、長期的には正しい判断であることを理解していると語った。サヴィオは現時点で90分を戦えるコンディションではなく、ウドギも同様に慎重な管理が必要とされている。
背景には、トッテナムが近年抱えてきた“負傷多発の歴史”がある。過去数シーズンは常に二桁規模の負傷者を抱え、再負傷も頻発していた。選手を酷使し、十分な回復期間を与えないまま起用する悪循環が続いていた。
昨季終了後、ジェームズ・マディソンは「うちの負傷者数は他クラブと比べても異常だ。理由を見直す必要がある」と語っており、クラブ内部でも問題意識が共有されていた。
この状況を改善するため、クラブはパフォーマンス部門の大規模改革を実施した。2024年に長年医療部を率いたジェフ・スコットが退任し、その後も複数の責任者が短期間で入れ替わるなど混乱が続いていたが、2026年2月にシティ・フットボール・グループからダン・ルウィンドンがパフォーマンス部門のディレクターとして就任。彼が中心となり、医療・フィジカル・パフォーマンスの全領域を再構築している。
ルウィンドンは、選手を4〜6人の小グループに分け、専属のフィジオとスポーツサイエンティストが個別に管理する“ポッド型モデル”を導入した。これにより、選手の身体的特徴・ポジション・負傷歴に応じた細かいケアが可能となり、負傷リスクの早期察知と予防が期待されている。
また、スタジアムのピッチが負傷の原因ではないかという独立調査も行われたが、他スタジアムと比較して跳ね返りや弾性に有意差はなく、ピッチ要因は否定された。クラブはさらに詳細な分析も進めている。
今季は慎重な負傷管理が徹底されており、クドゥスは4月の負傷から慎重に復帰プロセスを進めている。クルゼフスキも17ヶ月の離脱を経て復帰したが、負荷調整を優先している。これにより、試合ごとに“筋疲労”を理由に複数選手が先発を外れるケースが増える可能性がある。
デゼルビは「短期的には不満が出るが、長期的にはクラブのためになる」と理解しており、医療部との連携を重視している。昨季終盤には、彼の一貫した判断と選手優先の姿勢が医療部から高く評価されていたという。
負傷は完全に防げるものではないが、トッテナムは“再負傷の連鎖”を断ち切るため、クラブ全体で慎重な管理体制へと舵を切っている。今回のサヴィオとウドギの交代は、その新方針の象徴と言える。
パフォーマンス部門の組織図

記事解説
今回の記事の核心は、デゼルビが「不満を抱えながらも医療スタッフの判断を受け入れた」という点にある。これは単なる交代判断の違いではなく、クラブが負傷対策を最優先する新方針へ完全に舵を切ったことを示している。
サヴィオとウドジーは続行可能に見えたが、医療スタッフは再負傷のリスクを最重要視し、事前計画どおり60分で交代させた。デゼルビは短期的には不満を示したものの、長期的にはクラブの利益になると理解している。
背景には、過去数シーズンの負傷多発がある。二桁規模の負傷者、再負傷の連鎖、選手の酷使──これらがクラブの競争力を大きく削いできた。マディソンが「うちの負傷者数は異常」と語ったように、選手側も問題を認識していた。
この負傷問題は、スコット・マンが主導した組織改革が十分に機能しなかったことの“清算”でもある。マンは2023〜2025年の在任期間中にフットボール部門の再編を進めたが、医療・パフォーマンス領域では人事の入れ替わりが続き、安定した体制を築けなかった。今回の大規模改革は、その不安定さを解消するための再構築と言える。
新パフォーマンスディレクターのダン・ルウィンドンは、医療・フィジカル・スポーツ科学を束ねる立場として、選手を小グループで個別管理するモデルを導入した。これにより、選手の身体的特徴や負傷歴に応じた細かいケアが可能となり、再負傷の予防が期待されている。
また、スタジアムのピッチが負傷の原因ではないかという独立調査も行われたが、跳ね返りや弾性に他スタジアムとの差はなく、ピッチ要因は否定された。そもそも、もしピッチに問題があれば、最初に気づくのは選手自身であり、クラブが気づかないという状況は考えにくい。今回の調査結果は、負傷の原因がピッチではないということを、そこに疑念を抱く一部のファン向けに行ったパフォーマンスともとれそうだ。
デゼルビは医療スタッフとの連携を重視し、選手の安全を優先する姿勢を示している。今回の交代は、クラブが「短期の勝利より長期の健康」を優先する新方針の象徴であり、今季のスパーズはこの慎重な管理を軸に戦うことになる。

