レポート
「1対1では、彼は最高の選手の1人だ」
トッテナムは8月25日(火)、マンチェスター・シティから加入するサヴィオの獲得を正式に発表した。移籍金は7,500万ポンドに、条件次第で最大1,000万ポンドが上乗せされる総額8,500万ポンドの契約となる。22歳のブラジル人ウインガーは、マンチェスター・シティでは登録名でプレーしていたが、今回の移籍を機に本来の名前である「サヴィオ」としてプレーすることになる。デゼルビはブライトンを率いていた時代からこの選手を追い続けてきたとされ、当時ジローナへローン移籍していたサヴィオの活躍に目を付けていたという。
サヴィオはシティでの最初のシーズン、ペップ・グアルディオラの下で13アシストと3ゴールを記録したが、昨シーズンは太もものけがもあって出場機会に苦しんだ。デゼルビは「1対1という点では、彼は最高の選手の1人だ。まだ22歳という若さで、右でも左でもプレーできる。シティに移る前から話をしていた。彼は我々にとって大きな選手であり、大きな補強だ」と評価した。
その上で、完成された選手になるためにはゴール数を増やす必要があると指摘した。
「1対1を仕掛けてチャンスを作る能力は非常に高い。あとは点を取れるようになれば完成する。世界最高クラスのウインガーの多くは、シーズンに10~15ゴールを記録している。彼にはその資質がある」
「最高の選手を得るには、待つ価値がある」
サヴィオは今夏の早い段階からノースロンドン行きを熱望していたとされるが、正式合意までには開幕直前までもつれ込む長い交渉があった。デゼルビは「私はせっかちな性格で、待つことができない。しかし待たなければならなかった。交渉を始めたのは、シーズン最終節のエヴァートン戦から3日後だった。それが8月最終週までかかってしまった」と振り返った。
「他の選手なら早く決着をつけられる。しかし最高レベルの、最高の質を持つ選手を望むなら、待つ価値がある。普通の選手よりもずっとその価値は大きい」とデゼルビは説明した。サヴィオについては、主力としての自覚を持ち責任を引き受けることが今後の課題だとも語った。
「彼はキープレーヤーの1人にならなければならない。フットボール人生では、自分が通用するかを示さなければならない瞬間が訪れる。彼にとってその瞬間が今であり、我々は彼を支え、必要な情報とサポートをすべて与えるためにここにいる」
「なぜスパーズだけ他クラブ並みに使えないのか」
今夏のスパーズは、サヴィオを含む4件の完全移籍とフリー移籍3件を合わせて総額3億1900万ポンドを支出した。さらに今週中には、サヴィオのシティ時代のチームメートであるオマル・マーモウシュの獲得も見込まれており、買取義務付きのローン移籍で移籍金5,000万ポンドとなる可能性がある。
こうした大型補強には一部の識者やライバルサポーターから批判の声も上がっている。Sky Sportsのギャリー・ネビルは8月24日(月)、開幕戦のブレントフォード戦0-3完敗を受けて「あれは完全な蹂躙だった。よく組織され、質の高い選手を揃え、何年も一緒にプレーしてきたチームに、寄せ集めの選手たちが完膚なきまでにやられる姿を、我々は何度も目にしてきた。厳しい週末になったが、彼らは良くなっていくだろう」と評した。
大金を投じるクラブを率いる重圧について問われたデゼルビは、動じることなく言い返した。「移籍市場についてプレッシャーは感じない。むしろもっと使いたいくらいだ、何の問題もなく。他のクラブだってお金以外の何かを使っているわけではないのだから」
「プレッシャーを感じるのは、世界最高クラスのクラブの1つで働いているからだ。このクラブがタイトル争いに加われるよう手助けしたい。今シーズンか来シーズンかは分からないが、それが自分自身の目標だ。クラブから何かを求められたわけではなく、ただ良い準備をして戦ってほしいと言われているだけだ」
「我々は移籍市場でとても良い動きができている。だったら、なぜいけないのか。リバプールやマンチェスター・シティ、チェルシー、アーセナルと渡り合えないのか、私には理解できない。チェルシーやリバプールと同じだけの金額を使えない理由を、誰か説明してほしい。私はそこまで賢くないので分からない」
「昨季も、そうやって上向いてきた」
デゼルビは、チームが生まれ変わるには時間が必要だと強調した。
「共に戦えば、1人でいるよりも強くなれる。それはプロセスであり、そのプロセスは速くは進まない。厳しい道のりだ。良い状況に見えてから、もう一度やり直さなければならないと分かることもある。しかしそれは、過去の大きなクラブがたどってきたのと同じプロセスだ」
好例としてチェルシーを挙げた。
「クラブワールドカップで優勝したチェルシーも、チームになるまでに2、3シーズンを要した。我々はもっと速くできると思っている。しかし全員が一丸となってもっと働き、集中力を保ち、頭を冷静に保つ必要がある。1試合負けたからといってすべてを壊すのではなく、勝ったからといってプレミアリーグを制する準備ができているわけでもない」
「5連勝を成し遂げたい。チームの雰囲気、メディカル・フィジカルスタッフを含めた環境の習慣を変えていく。今すぐは無理でも、数週間後には3連勝、4連勝、5連勝ができる状態になっているはずだ」とデゼルビは述べ、昨季終盤にブライトン戦のロスタイムで追いつかれて勝ち点2を失った後、ウルバーハンプトン戦とアストン・ヴィラ戦に連勝し、リーズ戦も内容的には勝利に値する戦いをして4試合負けなしを記録した実績を引き合いに出した。「シーズン序盤は1勝もできなかったのに、そこまでたどり着いた」
記事解説
デゼルビの一連の発言は、23日のブレントフォード戦0-3完敗という厳しい開幕直後に出たものであり、批判に対する一種の開き直りとも読める。だが単なる強がりではなく、「タイトルを争うチームになるにはプロセスが要る」という持論の裏返しでもある。クラブワールドカップ制覇までに2、3シーズンを要したチェルシーの例を引き合いに出したのは、大型補強を続けながらも結果が出るまでの我慢の時間をファンとクラブに求める狙いだろう。
今夏だけでサヴィオ、トナーリ、フェルナンデスらの補強に加え、マーモウシュの加入も控えており、選手層は着実に厚みを増している。サヴィオの移籍金8,500万ポンドがシティの選手売却額としてクラブ史上最高額に達したことは既報の通りだ。それでもなお「なぜ他クラブと同じだけ使えないのか」と言い切ったデゼルビの発言は、単なる不満の表明ではなく、批判をかわしつつクラブ経営陣にさらなる補強を促す、二重のメッセージと受け取ることもできる。

