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【経営】トッテナムの年間チケット代は月収の23.86%相当──プレミアで2番目に高額、アーセナルに次ぐ重い負担

【経営】トッテナムの年間チケット代は月収の23.86%相当──プレミアで2番目に高額、アーセナルに次ぐ重い負担

✔ 年間チケットは月収の23.86%相当
✔ プレミアで2番目に高額な設定
✔ プレミアは欧州で最も重い負担率

レポート

トッテナムは現地時間8月23日、プレミアリーグ2026-27シーズンの開幕戦でブレントフォードと対戦し、0-3で完敗を喫した。今シーズンでプレミアリーグ在籍35年目となるトッテナムは、1992年のプレミアリーグ発足以来一度も降格を経験していない伝統クラブだが、直近のシーズンは17位というファンにとって物足りない成績で終えている。

そうしたなか、チケット価格比較サイトSeatPickが、プレミアリーグ全20クラブを対象にした年間チケット(シーズンチケット)の”手頃さ”に関する調査結果を発表した。調査は、各クラブのシーズンチケット価格が、平均的な手取り月収の何%に相当するか、また日数換算で何日分の労働に相当するかを算出したもの。

“月収の23.86%”――トッテナムに重くのしかかるチケット代

SeatPickの調査によれば、トッテナムのシーズンチケットは856ポンドで、リーグ戦1試合あたりに換算すると45.05ポンドに相当する。これは平均的な手取り月収の23.86%、労働日数に換算すると5.19日分に相当する負担であり、プレミアリーグ20クラブの中でアーセナルに次ぐ2番目の高さとなっている。

最高額はアーセナルの978ポンド、最安はニューカッスルの380ポンド

プレミアリーグで最も高額なのはアーセナルで、シーズンチケットは978ポンド、1試合あたり51.47ポンド、月収の27.26%(5.93日分)という負担率だった。一方、最も”手頃”だったのはニューカッスルで、シーズンチケットは380ポンド、1試合あたり20.00ポンド、月収の10.59%(2.30日分)にとどまっている。トッテナムの負担率は、最安のニューカッスルの2倍を大きく上回る水準だ。

プレミアリーグ20クラブの詳細な順位は以下の通り。

順位クラブシーズンチケット1試合あたり月収に占める割合労働日数換算
1ニューカッスル380ポンド20.00ポンド10.59%2.30日
2ハル・シティ396ポンド20.84ポンド11.04%2.40日
3マンチェスター・シティ425ポンド22.37ポンド11.85%2.58日
4イプスウィッチ・タウン466ポンド24.53ポンド12.99%2.83日
5フラム503ポンド26.47ポンド14.02%3.05日
6リーズ・ユナイテッド510ポンド26.84ポンド14.22%3.09日
7ブレントフォード520ポンド27.37ポンド14.49%3.15日
8サンダーランド550ポンド28.95ポンド15.33%3.33日
9フォレスト575ポンド30.26ポンド16.03%3.49日
10コヴェントリー・シティ625ポンド32.89ポンド17.42%3.79日
11ブライトン630ポンド33.16ポンド17.56%3.82日
12エヴァートン640ポンド33.68ポンド17.84%3.88日
13マンチェスター・ユナイテッド646ポンド34.00ポンド18.01%3.92日
14ボーンマス697ポンド36.68ポンド19.43%4.23日
15チェルシー700ポンド36.84ポンド19.51%4.24日
16アストン・ヴィラ703ポンド37.00ポンド19.60%4.26日
17クリスタル・パレス725ポンド38.16ポンド20.21%4.40日
18リバプール735ポンド38.66ポンド20.47%4.45日
19トッテナム856ポンド45.05ポンド23.86%5.19日
20アーセナル978ポンド51.47ポンド27.26%5.93日

プレミアは欧州5大リーグで最も”重い”リーグに

SeatPickの調査は、プレミアリーグと欧州の他の4大リーグとの比較も行っている。プレミアリーグの1試合あたりの中央値は33.03ポンドで、月収に占める割合の中央値は17.49%(3.80日分)。これは、ブンデスリーガ、リーグ・アン、セリエA、ラ・リーガと比べて最も高い水準だった。

リーグ1試合あたり中央値月収に占める割合
(中央値)
労働日数換算
(中央値)
ブンデスリーガドイツ11.60ポンド6.75%1.47日
リーグ・アンフランス11.09ポンド7.98%1.74日
セリエAイタリア13.53ポンド13.78%3.00日
ラ・リーガスペイン14.89ポンド15.60%3.39日
プレミアリーグイングランド33.03ポンド17.49%3.80日

さらにSeatPickは、欧州5大リーグ全体を対象に、月収に占める割合が最も低い(=最も”手頃”な)クラブも合わせて公表している。上位はブンデスリーガとリーグ・アンのクラブが独占する結果となった。

順位クラブリーグシーズンチケット月収に占める割合労働日数換算
1TSGホッフェンハイムブンデスリーガ135ポンド4.64%1.01日
2アンジェリーグ・アン120ポンド5.08%1.10日
3バイエルン・ミュンヘンブンデスリーガ154ポンド5.28%1.15日
4フランクフルトブンデスリーガ163ポンド5.58%1.21日
5マインツ05ブンデスリーガ171ポンド5.84%1.27日
6ル・マンリーグ・アン139ポンド5.87%1.28日
7ブレストリーグ・アン146ポンド6.16%1.34日

バイエルン・ミュンヘンのように欧州屈指の強豪クラブでありながら、月収に占める割合が5.28%という”手頃”な水準に収まっている例もあり、プレミアリーグの突出した高さが際立つ結果となっている。

プレミアリーグの表を改めて見ると、負担率の低い上位には、今シーズン昇格したばかりのハル・シティ、イプスウィッチ・タウン、コヴェントリー・シティが軒並み名を連ねている。一方、負担率の高い下位には、アーセナルやトッテナムをはじめ、観客動員力とブランド力を兼ね備えた伝統的な強豪が集中する傾向がはっきりと表れている。

記事解説

今回のデータが公表されたタイミングは、トッテナムにとって皮肉なものだ。前シーズンを17位で終え、迎えた開幕戦もブレントフォードに0-3で完敗した直後に、「プレミアで2番目に高いチケット代を払わされているクラブ」というデータが可視化された形になる。成績への裏付けが乏しいまま高額な負担を求められている現状に、サポーターから疑問の声が上がっても不思議ではない。

背景には、トッテナム・ホットスパー・スタジアムの建設コストがある。2019年に開場した同スタジアムは建設費が10億ポンドを超えたとされ、世界的に見ても屈指の高コストなスタジアム建設事例だった。NFLの試合やコンサートなど多目的利用を前提に設計され、プレミアム座席やホスピタリティ施設を充実させることで、試合日収入を最大化する狙いが当初から明確な施設だ。チケット価格の高さは、その投資回収という構造上の要請と切り離せない面がある。

クラブ経営という観点では、当サイトが先日取り上げたダニエル・レヴィ流の”安値買い・高値売り”路線の転換とも通じるところがある。移籍市場での姿勢は変化しつつあるとされる一方、チケット収入という別の収益源では、依然として収益最大化路線が色濃く残っていると見ることができる。同じノースロンドンのライバルであるアーセナルが最高額という結果も、ピッチ上の対照的な軌跡とは裏腹に、両クラブが世界的なブランド力と需要の強さを背景に高値設定を維持できる立場にあることを示していると言えるだろう。

より広い視点で見れば、プレミアリーグ全体の負担率がブンデスリーガの2倍以上という結果は、株式会社的な投資家主導の所有構造が主流のイングランドと、50+1ルールでファン主導の経営を保つドイツとの、根本的な経営哲学の違いを映し出している。今シーズンからSCR(スクワッド・コスト・レシオ)が導入されるなど、財務面でのルール強化が進む一方、その負担の一部が結局はチケット価格という形でサポーターに転嫁され続けている構図は、今後も議論を呼びそうだ。

筆者自身、月額数千円の観戦サブスクリプション費用を負担し、試合の大半を自宅のPCの画面越しに視聴している一人の日本人ファンに過ぎない。今回のデータが示す通りの高額なチケット代に加え、スタジアムまでの交通費や諸経費まで負担しながらスタジアムに足を運び、ピッチで戦う選手たちに声援を送り続ける現地のサポーターの存在には、頭が上がらない思いだ。