レポート
開幕からの上積みへの期待を裏切り、スパーズはブレントフォード相手に0-3で完敗した。大型補強を経た夏を終えての初陣は、デゼルビ体制の現在地を厳しく突きつける結果となった。
「移籍市場でチームにはなれない」
デゼルビは試合後の会見で、チームとしての完成度について問われ「我々はまだチームではない」と認めた。目標を語れる段階に至っていない理由として、選手同士が試合や練習を通じてつながりを築く時間がまだ足りていないことを挙げ、「移籍市場でチームにはなれない。選手同士でチームになる。つながりを見つけ、精神を見つけ、魂を見つけるものだ」と説明した。
49分で0-3、プレシーズン不足のツケ
デゼルビは、プレシーズンの準備不足が実際のフィジカル面の準備不足につながったと認めた。ブレントフォードの厳しいプレッシングに対応できず、守備は混乱し、プレッシングの連動も欠いたまま、試合開始からわずか49分で0-3をつけられた。
DF3人が新加入、20歳グレイが本職外の右SBに
この日先発したディフェンスラインは、ヤン・ポール・ファンヘッケを含む3人の新加入選手と、20歳のアーチー・グレイという構成だった。グレイは史上最年少のキャプテンに就任した一方、本来のポジションではない右サイドバックでの起用だった。中盤のルーカス・ベリヴァルとサンドロ・トナーリのコンビも守備のギャップを埋めきれず、攻撃陣もブレントフォードに圧倒された。8,500万ポンドで加入したマテウス・フェルナンデスは途中出場にとどまり、この日のスタメンだけで新加入5人がデビューを飾る形となった。
マディソンら主力温存の裏側、補強はなお続く
ワールドカップから合流が遅れた選手に加え、デゼルビはジェームズ・マディソン、ドミニク・ソランケ、デスティニー・ウドギ、フェルナンデスのコンディションに慎重な姿勢を取った。この日のスタメンがそのまま次戦以降も継続する可能性は低いという。マイキー・ムーアはローン移籍での退団が見込まれており、クラブは攻撃陣の再編に向けてマンチェスター・シティのオマル・マーモウシュとサヴィーニョの獲得交渉を進めている。17位という結果が続いた過去2シーズンを踏まえれば、今後もチームに大きな変動が続くこと自体は驚くことではない。
記事が示す”救い”──ブレントフォード自身の過去
記事は末尾で、スパーズが参考にすべき材料としてブレントフォード自身の経験を挙げている。ブレントフォードも昨季の開幕戦でノッティンガム・フォレストに前半だけで0-3をつけられており、1つの完敗がシーズン全体を決めるわけではない、という趣旨だ。
記事解説
この「ブレントフォードにも前例がある」という指摘を裏取りすると、より具体的な数字が見えてくる。ブレントフォードは2025-26シーズン開幕戦、アウェーのノッティンガム・フォレスト戦で前半のうちに0-3をつけられ、終盤に1点を返したものの3-1で敗れている。それでもシーズンを通しては14勝11分13敗、得失点差プラス3の成績で9位まで順位を上げてフィニッシュしている。単発の完敗がシーズン全体の出来を決めるわけではないという記事の見立ては、この数字を踏まえると確かに説得力を持つ。
ただし今季のスパーズが置かれた状況は、昨季のブレントフォードとは性質が異なる点にも留意が必要だ。ブレントフォードの場合は既存の陣容の延長線上での出遅れだったのに対し、スパーズは夏に3億ポンド規模ともいわれる大型補強を敢行し、主力の入れ替えそのものを進めている最中である。デゼルビが会見で繰り返した「時間が必要」という論理は、単なる不調からの立て直しではなく、事実上のスカッド再構築の途中経過として受け止める方が実態に近い。マーモウシュの獲得交渉が大詰めを迎えているとの報道も同時期に伝わっており、開幕戦のスタメンがこの先何度も入れ替わっていくこと自体が、再建の過程そのものだと捉えるべきだろう。

