レポート
ロマーノが”Here we go”──5,000万ポンドで買取義務付きのローン
ブレントフォードとの開幕戦(8月22日、土曜)を0-3で落とした直後、スパーズの補強交渉が動くとの見方が強まっていた。今夏はデゼルビ体制のもと、放出と他ポジションの整備を優先しつつ、FW3人の獲得を目指すと伝えられてきた。8月21日(金)にマンチェスター・シティとの間でサヴィーニョの合意に達したのに続き、ファブリツィオ・ロマーノはマーモウシュについても交渉が動いたと報じた。
ロマーノによれば、初期段階のローン合意が成立し、5,000万ポンドの買い取り義務を伴う内容だという。サヴィーニョの移籍金8,500万ポンドと合わせると、シティからの2人獲得には合計で1億3,500万ポンド規模の投資となる計算だ。サヴィーニョに続く”ダブル補強”として、スパーズサポーターの間でも歓迎する声が広がった。
90分ベンチ、それでも浮かぶ疑問符
この報道は、マーモウシュがボーンマス戦(8月23日、日曜、シティの2-1勝利)で90分間ベンチにとどまった直後に出た。マレスカは劣勢の場面でジャック・グリーリッシュを投入し、エジプト人FWを最後まで起用しなかった。スパーズのサポーターの間では、この不出場が放出の兆候だと受け止められた。
「合意はまだ」──Standard紙の異論と、精度に陰るロマーノ
一方で、ロマーノが早まった可能性も指摘されている。今夏のロマーノは精度にやや陰りが見えており、ヤン・マテオ・ディオマンデのレアル・マドリード移籍を巡る報道では、フロリアン・プレッテンベルクとSNS上で対立する場面もあった(結局ディオマンデはマドリード入りしている)。
The StandardのSam Tabuteau記者は、マーモウシュの合意はまだ成立していないと伝えている。この見方は、シティが自身のSNSに投稿した練習風景の写真によっても裏付けられた。写真の1枚にはマーモウシュ本人が写っており、通常通り練習に参加している様子が確認できる。
それでも、信頼度が今夏を通じて低下しているとされるスパーズ内部関係者は、マーモウシュの放出をシティ側がすでに”容認”したと理解しているという。
記事解説
このタイミングでの懐疑報道は見過ごせない。信頼できる媒体による反証と、シティ自身がSNSで公開した練習写真という材料がそろった以上、合意の”確定”と”交渉終盤”は区別して受け止めたほうがよい。
仮に合意が本当に近いとすれば、その条件設定には合理的な理由がある。マーモウシュは2026年1月にアイントラハト・フランクフルトから5,900万ポンドでシティへ加入した。フランクフルトはこの移籍で15%の転売条項を保持しているとされ、シティが将来マーモウシュを売却して利益が出た場合、その一部をフランクフルトに支払う義務を負う。今回報じられている5,000万ポンドの買取義務付きローンなら、シティの購入額を下回るため利益は発生せず、転売条項の発動を回避できる。ロマーノの報道が事実なら、シティ側がこの点を意識して金額を設計した可能性は高い。
ロマーノを巡る今夏の”陰り”は、必ずしも報道内容の誤りを意味しない。ディオマンデの一件でも、対立を経て最終的にはロマーノの報道通りレアル・マドリード入りが実現している。「早すぎた」ことと「誤っていた」ことは別問題であり、マーモウシュの合意も白紙になったというより、発表までのタイムラインが数日長引く可能性を示す材料と見るのが妥当だろう。続報を待ちたい。

