レポート
アウェイでブレントフォードに0-3で敗れたスパーズについて、Evening Standardは「同じ問題」というキーワードを軸に、この試合から浮かび上がった3つのポイントを分析している。
“同じ問題”が新戦力でも解消されず──開幕戦で露呈した一体感の欠如
ロベルト・デゼルビ体制の新時代の幕開けとして期待を集めていたにもかかわらず、スパーズは立ち上がりから精彩を欠き、33分までに2点のビハインドを背負った。積極的な補強を経て新戦力4人が公式戦デビューを飾ったが、チームとしての一体感と自信の欠如が目立ち、ブレントフォードは終始上回るパフォーマンスを見せ、内容に見合った結果を手にしたと総括している。
後半途中から出場したマテウス・フェルナンデスだけが、試合を変えられる可能性を感じさせる数少ない選手だったという。責任をチーム全体で分かち合う姿勢の欠如は依然として課題として残っており、選手層は入れ替わったものの、昨シーズンから学んだはずの教訓が生かされている形跡はほとんど見られなかったと厳しく指摘している。
サンガレに完全掌握されたトナーリ──中盤の主導権を握れず
この試合の勝敗を分けたのは中盤の攻防だったとし、ブレントフォードのクラブ史上最高額となる4,100万ポンドの移籍金でランスから加入したママドゥ・サンガレが、リーグ全体にその存在感を示したと評価している。サンガレは昨シーズン、リーグ・アンでランスをパリ・サンジェルマンとの優勝争いに導く原動力となった実績を持つ。
1億ポンドの移籍金でスパーズに加入したトナーリであれば互角に渡り合えるとみられていたが、実際にはサンガレに終始封じられる格好となった。サンガレが華麗なワンツーから抜け出し、キーン・ルイス=ポッターへ折り返した場面は、この日の主導権の所在を象徴していたという。ボールを持てば試合にリズムを生もうとしたトナーリだったが、非保持の局面ではサンガレに全く近づけなかった。この日のブレントフォード優位を最も象徴する場面が、サンガレ対トナーリの構図だったと結論づけている。
“史上最年少”キャプテン、グレイに浴びたブーイング
この日、キャプテンマークを巻いたアーチー・グレイについても触れている。20歳163日でのキャプテン就任は、公式戦におけるスパーズ史上最年少記録であり、スティーブ・ペリーマンが持っていた記録を更新するものだった。
本来なら誇るべき記念日になるはずだったが、試合内容を象徴するかのように、ピッチを退く際にはスタンドから「大きいクラブに移籍すればよかったのに」という趣旨のヤジを浴びせられたという。敗戦の責任がグレイ個人にあるわけではないが、スパーズがブレントフォードを抑え込む術を持たなかった中で、グレイ自身もなす術がない様子だったとしている。この若さでクラブを背負うキャプテンに指名されたこと自体、デゼルビが埋めたいと考えているリーダーシップの空白を映し出しているとも指摘した。
記事解説
今回の分析で興味深いのは、単なる戦術的な劣勢だけでなく、責任の所在というテーマを一貫して扱っている点だ。ボール保持でリズムを作れなかったトナーリの苦戦は、フィジカルコンディションの課題を認めたデゼルビ本人の説明とも符合する。1億ポンドの移籍金という重圧を背負っての公式戦デビューで、格上と目されていなかったサンガレに完全に封じられたことは、開幕戦特有の一過性の現象なのか、それとも今後も続く課題なのか、次節以降の戦いぶりで見極める必要がある。
グレイのキャプテン就任についても補足しておきたい。本来のキャプテンはファンデフェンだが、この試合はポロとともに負傷により欠場しており、副キャプテンのグレイが代役でその任を担った形だ。20歳という若さでの記録づくめの一日が、勝利ではなくブーイングという苦い記憶とともに刻まれたのは皮肉だが、裏を返せば、若手にも重責を任せられるだけの信頼をクラブが置いていることの証左でもある。
新戦力を大量投入した開幕戦でこれだけの完敗を喫したことは、シーズン全体を占ううえで冷静な受け止めが必要だ。ただし、公式戦初出場の選手が複数いた中で、相手が偶然にも同じく公式戦デビューを飾ったクラブ史上最高額の新加入選手に完全に主導権を握られたという巡り合わせも見逃せない。1試合の内容だけで戦力の優劣を断定するのは早計であり、今後の対戦相手や連係の深まりとともに、この日とは違う姿を見せられるかが問われることになる。

